西川あやのアナ ラジオの未来を担う個性
2022年07月08日 07:45
芸能
インタビューに応じた西川アナは「会見の後、反省しました」と笑いつつ、「宮治さんはTBSラジオでも番組をやっていらっしゃるんですけど、そちらは1人。文化放送の番組はコンビとして掛け合いにした方が面白いんじゃないかという話を私にしてくださったんです。私も番組で最初は宮治さんを立てて面白いところを世に出すお手伝いをしようと思っていたんですけど、いろんな方々の反応から、自分を出した方がいいんだと思うようになりました。その方が宮治さんも話しやすいと気づいて徐々に変えてきたんです」と真意を明かした。
振り返ってみれば、新人時代から並みのアナウンサーではなかった。2016年には、同期入社の小尾渚沙アナ、八木菜緒アナとともに音楽ユニット「JOQgiRl」を結成し、デビュー曲「勤労感謝 to me!」を発売している。
「あの時は久しぶりに、しらふで歌いました。歌は中学生の時に合唱コンクールに出たくらいで、大人になってからはカラオケに行くくらいだったんです。同期の2人は、いろんなことをやると自分の仕事に生かせるということを理解していて『やろう!』という感じだったんですけど、私は『まだアナウンサーの仕事がちゃんとできていないのに…』という感じでした。でも、実際にやってみて、そのような挑戦が自分の仕事につながることを学びました」
その後も担当番組「キューイチローと遊ぼう」のテーマソング「キューイチロー音頭」(2020年発売)をキューイチロー、声優の松浦愛弓とともに歌い、さらに、今年4月にはソロデビュー曲「はなまる」を発売した。
「『はなまる』はみんなで作詞もしました。普段はラジオで話して伝えていますが、歌で伝えるものもあるということを学びました。私は今、『セントラルミュージック』(番組制作、音楽制作などの会社)に所属していて、音楽作りの勉強もしています。CDのパッケージをどうするかとか、歌詞カードをどうするかとか、全て自分たちで考えるんです。将来、ラジオを聴いて頂いている方々への感謝を込めて、アナウンサーのアルバムをプロデュースしたい。楽器やボイスパーカッションが得意な人もいますから」
元々はナレーター志望。小学生の時、国語の授業で朗読した時に教師からほめられたことががきっかけだったという。
「文章を読むのが好きで、今でも、決められた文章を読んでいる時がいちばん楽しいです。就職活動の頃、いきなりナレーターになるのは難しいのでアナウンサーになろうと考えました。アナウンサースクールに通っていたんですけど、そこでカメラテストがあって、その時、自分がカメラで撮られるのが苦手だということに気づきました。自分の方に向いているレンズが怖くて、文章を読むどころではなかったんです。それで、声だけで伝えられる仕事を選びました」
今年4月にスタートした「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」は異彩を放つ。各曜日に2人のコメンテーターがレギュラー出演しているが、曜日によって話す内容は千差万別。例えば、先月29日には、お笑い芸人の大島育宙、哲学研究者の永井玲衣さんとともに、未確認生物の話から哲学の話へと移行する斬新な展開を聞かせた。
「取り扱うものが毎日違うので、週1の番組を毎日やっているような感覚です。答えが出ないこと、日常生活の中でどうでも良いことを真剣に話し合っています。私が今まで学んできたものが役に立つわけではないので、情報のアンテナの張り方も変わってきました。リスナーに『私も話に加わりたい』と思ってもらえる番組、聞いている方々の感情を動かす番組にしたいです」
ラジオの未来の一端を、この人の豊かな個性が担う。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。