夏菜 ドラマ「個人差あります」主演 「撮影が楽しいと感じたのは十数年ぶり」
2022年08月03日 07:45
芸能
夏菜は「これまで演じて来た役の中でダントツに難しい。面白そうな役だと思って出させて頂いたんですけど、いざ演じるとなったら悩んで、正直、さじを投げかけました。私は女性として生きて来て男性が好きで今のだんなさんと結婚したので、『女性の体をした男性で、女性を愛している』という構造を理解することがなかなかできなかったんです。テレビの報道番組の特集やYouTubeを見て研究してようやく演じられるようになりました」と話す。
このドラマには「愛する人の性別が変わっても、愛せますか」というキャッチコピーがある。男性の場合、ずっと愛していた女性がある日突然、男性になってしまった状況、女性の場合、ずっと愛していた男性がある日突然、女性になってしまった状況を受け入れられるかどうかという問い掛けだ。
夏菜は笑いながら「私は無理です」と即答しつつ、「たぶん私は凄く女なんだと思います。これまでずっとサバサバ系で生きて来たつもりですけど、この役を演じてみて、実際のところ、めちゃくちゃ女じゃん!と気づかされました。女っぽい女が好きじゃないと思っていたけれど、実は自分がいちばん女でした。感じ方は人それぞれだと思うので、それこそ、このドラマのタイトルのように『個人差あります』ですし、ドラマを見て頂くと『私の考え方は古いかも』と感じて頂けることがたくさんあると思います」と説明する。
6日放送の第1話で、「異性化」で女性になった晶(夏菜)が男性の動き、男性の言葉づかいで生活し始める姿が描かれるが、夏菜の芝居はナチュラル。周囲の男性の反応によって自分の体が女性になっていることを再認識するシーンや既に自身に女性の一面が潜んでいることに気づいて動揺するシーンなどで、複雑な状況を表現することにも成功している。
「演じれば演じるほど理解できていると思います。晶が壁にぶつかって悩めば悩むほど、その気持ちが分かる気がします」
自身は昨年1月に結婚し、今年3月に第1子の女児を出産。しばらく芸能活動を休止していたが、この作品の撮影が6月に始まり、女優として復帰した。
「凄く新鮮でした。こんなに撮影が楽しいと感じたのは、映画『GANTZ』に出演した頃以来、十数年ぶりくらいのことです。ずっと女優業は苦しいと思っていたけれど、久しぶりにワクワク、ドキドキする気持ちがよみがえりました。出産して改めて自分の時間の大切さに気づいたこともあると思いますし、これまでで最も難しい役に悩んで準備に時間をかけて臨んだこともあると思います。女優の仕事は、1つの作品をみんなでより良くしようと考えて作り上げていくところが楽しい。私はこれがやりたくて女優になったんだ!と思い出しました」
近年はバラエティー番組などで活躍する印象が強かったが、今後は女優業が活動の中心になりそうだ。
「そろそろ女優に戻ろうと思いました。これまではどこか冷めている部分があったんです。だから、ひとつの作品に対して熱く語る人が苦手だったんですけど、なんかそういうのも分かるな…と感じ始めています。これからは、ひとつひとつの作品に情熱を傾けていきたい。楽しい感覚が戻ってきたので、今ならどんな役が来てもやれそうな気がします」
役者としての充実感、躍動感がドラマ「個人差あります」に満ちている。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。