【前回の鎌倉殿の13人】第30話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「全成 天をも動かした愛の呪文」

2022年08月14日 08:00

芸能

【前回の鎌倉殿の13人】第30話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「全成 天をも動かした愛の呪文」
イラストレーターの石井道子氏が描いたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第30話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「全成 天をも動かした愛の呪文」 Photo By スポニチ
 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は14日、第31話が放送される。新進気鋭のイラストレーター・石井道子氏が描く“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)とともに前回の第30話(8月7日)を振り返る。
 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第30話は「全成の確率」。源頼家(金子大地)に対して呪詛を行った疑いにより、詮議を受ける阿野全成(新納慎也)。比企能員(佐藤二朗)は背後に北条家の暗躍があると確信し、対決姿勢をさらに強める。夫・全成が権力闘争に巻き込まれた実衣(宮澤エマ)は激怒。娘・実衣の追及に、北条時政(坂東彌十郎)は名乗り出ようとするものの、妻・りく(宮沢りえ)に止められる。北条義時(小栗)は北条家を守るため一案を講じ、畠山重忠(中川大志)の助力を得る…という展開。

 全成は八田知家(市原隼人)が治める常陸へ流罪。しかし、所領の再分配をめぐって頼家と対立した能員が「実衣殿の身が危うい」と焚きつけ、全成は再び頼家を呪詛。これが知家の耳に入り、頼家に報告。能員は知らん顔をし「これは、もはや謀反」。知家が討伐役を申し出た。

 山奥の寺の境内。知家の家人たちに連れ出された全成は呪文を唱え続けると、空が暗くなり、風が吹き始めた。

 全成の呪文はヒートアップ。雨が降り始めた。風は突風、雨は横殴り、雷鳴も轟く。家人が全成を斬りつけると同時に雷が落ち、木が倒れる。致命傷には至らず、縄が解けた全成は肩口からの鮮血を目にし「実衣ー!」と絶叫。立ち上がり「フッ。『臨 兵 闘 者 皆 陣 烈 在 前!』『急急如律令』。ごう(合)!」と呪文を唱えながら、手刀を縦横に切った。恐怖のあまり、家人たちの腰が砕けた。

 義時「私が知ったのは、八田殿が鎌倉を出た後でした。全成殿を救うことができず、すまぬ」

 実衣「あの人はどんなふうに亡くなったんですか」

 義時「立派なご最期だったと」

 実衣「詳しく話して。聞いておきたいの」

 義時「庭に引き据えられた時、全成殿はひたすら呪文を唱えておられたそうだ。斬首の刀が振り下ろされたその時、雷が近くの木に落ち、そこにいた誰もが恐れおののいたと。太刀筋が外れ、全成殿はまだ生きておられた。空が暗くなり、激しい雷雨が。進み出た八田殿が、その首を落とした刹那…」

 知家「悪禅師全成。覚悟」

 義時「嵐はやみ、青空が広がったそうだ」

 実衣「(号泣しながらも笑みが浮かぶ)」

 政子「やはり全成殿には、人知を超えたお力があったんですね」

 実衣「当たり前でしょ。醍醐寺で20年修行を積まれてきたんですよ。あの人は、そういうお方なんです。私には分かってた。ずっと昔から。やってくれましたねぇ。最後の最後に」

 今回の“大河絵”は妻への愛を貫いて呪文に成功、嵐と雷雨を巻き起こした全成と、夫の最期に誇らしく涙を流した実衣を1枚にまとめた。

 ◇石井 道子(いしい・みちこ)絵描き。千葉県生まれ。清野菜名と松下奈緒がダブル主演を務めたテレビ朝日の昼帯ドラマ「トットちゃん!」(2017年10月期)劇中画、ウェブマガジン表紙などを手掛ける。「ALL OF SHOHEI 2021 大谷翔平写真集」「スポニチ URAWA REDS 2021 浦和レッズ特集号」(スポーツニッポン新聞社)などにイラストを掲載。ライブペインティングや即興似顔絵も各地で行う。

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