日活の名作8作品を11月一挙上映 海外で高評価、田中絹代の監督作など
2022年08月24日 11:00
芸能
世界3大映画祭といわれるベルリン、カンヌ、ベネチアをはじめ東京国際映画祭のクラシック部門やフォーラムを彩った不朽の名作がズラリ。オールドファンだけでなく、ヤング層も熱い視線を送りたくなるぜいたくなラインアップだ。
1作ずつ並べていくと――。
(1)鈴木清順監督「殺しの烙印」(1967年)
(2)今村昌平監督「神々の深き欲望」(68年)
(3)田中絹代監督「月は上りぬ」(54年)
(4)田中絹代監督「乳房よ永遠なれ」(55年)
(5)田中登監督「(秘)色情めす市場」(74年)
(6)山中貞雄監督「丹下左膳余話 百万両の壺」(35年)
(7)山中貞雄監督「河内山宗俊」(36年)
(8)川島雄三監督「幕末太陽傳」(57年)
「映画と添い遂げた」といわれた大女優、田中絹代の監督作が2作含まれているのが興味深い。「月は上りぬ」は小津安二郎と斎藤良輔が脚本を担当。東京から疎開した奈良に戦後も住み続ける父親と三姉妹の日常を描いたラブコメディーで、北原三枝、杉葉子、山根寿子が三姉妹を演じている。
もう一つの「乳房よ永遠なれ」は54年8月3日に乳がんのため31歳の若さで逝った歌人・中城ふみ子の半生を月丘夢路の主演で描いた感動作。今年、ニューヨーク近代美術館で上映されて評判を呼んだ。映画監督「田中絹代」の実力を実感できる2作だ。
中城ふみ子よりも若い28歳で戦病死した山中貞夫監督の「河内山宗俊」には当時15歳の原節子も出演しており、その可憐さには今見ても目を奪われ、ため息が出る。
戦前の作品から黄金期、そしてロマンポルノまで、日活という映画会社のエキスが余すところなく詰まった8作品。映画ファンには秋の楽しみが1つ増えたうれしい企画だ。