三遊亭円楽さん、演じきった「腹黒キャラ」 毒舌も温かい人柄で愛された“インテリ”

2022年10月01日 05:30

芸能

三遊亭円楽さん、演じきった「腹黒キャラ」 毒舌も温かい人柄で愛された“インテリ”
10年、六代目三遊亭円楽襲名披露パーティーで握手を交わすソウル五輪男子マラソン代表の瀬古利彦氏(右)と三遊亭円楽さん Photo By スポニチ
 【三遊亭円楽さん死去 】 切れのいい毒舌の「腹黒キャラ」で知られた円楽さん。だが落語家仲間の間では「腹黒のはずなのに、なぜか自分には優しい」「実は面倒見がいい」との声も多く、実際は高い自己プロデュース能力のなせる業のようだ。「笑点」では、桂歌丸さんとの罵倒合戦で盛り上げた三遊亭小円遊さんが亡くなると、代わって歌丸さんを激しく責め立てる役を務めてキャラを確立した。だが「腹黒キャラ」の裏にある温かい人柄は画面越しにも伝わり、多くのファンに愛された。
 東京都墨田区生まれで「落語の世界、下町で育った」と公言する一方で、関東圏屈指の“オシャレ大”である青学大生でもあった。公務員試験に合格していたが「一つくらい記念に」と受験した同大に受かって入学。在学中に磨かれたファッションセンスに加え、落語家になってから「周りにシティーボーイのキャラはいない。これは使える」と気づいたこともあって、より服装に気を使うようになっていったという。青学大では落語研究会に所属し、落研に円楽一門の落語家が来たことが縁で五代目円楽さんに弟子入りする。

 なお、青学大卒業後の1991年に米国ルイジアナ州の科学技術系大学で哲学・理学博士の学位を取得した“インテリ”でもある。

 それだけに女性にはモテた。落語関係者によると「ルックスもいいし、昔から女性には人気があった」という。不倫が報じられたこともあったが、会見でも軽妙洒脱(けいみょうしゃだつ)な返しが自身のピンチを救った。

 ゴルフ、スキー、カメラ、マッサージ、料理など趣味や特技の多い人だった。「一生は一回。興味のあることは何でもやる」がモットー。そこには、先代の五代目円楽さんから授かった「三者と付き合いなさい」との教えもあった。三者とは賢者・医者・長者のことだが、趣味や習い事を通じて人との交流を深めるのが狙い。多趣味のおかげで「異業種交流的にいろいろな人と仲良くしてきた」と語ったことも。プロレス好きで、故ジャイアント馬場さんらとも親交があった。趣味を通じて広げた人脈、豊富な話題や人間の幅は、全て落語につながっていた。

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