円楽さん 記者に“独演会” 車中で2時間、腹黒キャラでのリップサービス
2022年10月01日 05:30
芸能
![円楽さん 記者に“独演会” 車中で2時間、腹黒キャラでのリップサービス](/entertainment/news/2022/10/01/jpeg/20221001s00041000110000p_view.webp)
あいさつをせねばと思い、女性を見送って円楽さんが1人になったタイミングで話しかけると、今度はこちらに向けての独演会が始まった。
「不倫ではないですよ。そんなにボクが港から出て行ってどうするんですか?もう航海しておりません。謎かけも本当はしたくなかったけど頼まれたらやりますよ、そりゃね」。
その後は店から場所を移して、運転手に待ってもらいつつ車の中で2人きり。面識のない記者の直撃取材は断ってもいいはずなのに、こちらがエピソードに引き込まれて笑い出すと興に乗ってきたのか止まらない。本音満載の独演会は2時間も続いた。
「腹黒と言われてますけど、世間の人も期待している。歌丸師匠とのやりとりも楽しんでもらわないとね。キャラがある方が分かりやすいし、ほかのメンバーもやりやすい。本当のことを言うと、笑点にはボクがいないとダメでしょ、やっぱりね」。そんなことを言いながらイタズラっぽく笑った。わざわざ腹黒キャラでのリップサービスだった。
この直撃取材の件は、師匠の言葉を信じて記事にすることもなかった。その縁で何かあるたびに連絡をさせてもらった。当時、東京に赴任したばかりだった大阪弁の記者の質問にも「それはね…」といつも丁寧に応じてくれた。本当に感謝の言葉しかない。
東西の噺(はなし)家を集めて福岡で「博多・天神落語まつり」を開催できたのも、その人望ゆえだ。高座はもちろんのこと、また熱く語る姿が見たかった。気遣いの人であり、テレビスターだった円楽さん。腹黒とは真逆で「座布団1枚」の世界で愛されたのも、どんな状況でも、客を楽しませる粋な“心意気”を持っていたからにほかならない。合掌。 (文化社会部長 森俊幸)