ノーベル文学賞にフランスの作家、アニー・エルノー氏　村上春樹氏は受賞ならず

　スウェーデンの王立アカデミーは6日、2022年のノーベル文学賞をフランスの作家、アニー・エルノー氏（82）に授与すると発表した。毎年有力候補に挙がってきた日本の作家・村上春樹氏（73）の受賞はならなかった。 　村上氏は2006年にチェコの世界的な文学賞「フランツ・カフカ賞」を受賞して以来、毎年有力候補とされている。ただ15年にはウェブサイト内で「正直なところ、わりに迷惑です。正式な最終候補になっているわけじゃなく、ただ民間のブックメーカーが賭け率を決めているだけ。競馬じゃあるまいし」と吐露したこともあった。

　村上氏は今年6月にはフランスの「チノ・デルドゥカ世界文学賞」の今年の受賞者に選ばれ、審査員長は「きっとノーベル文学賞を受賞するが、この賞でも称賛しないわけにはいかない」と称えた。審査員長を務めたフランスの学術機関アカデミー・フランセーズのエレーヌ・カレールダンコース終身事務局長は授賞理由で、小説「海辺のカフカ」や「1Q84」に触れながら「彼の著書はどれも驚かされる。平凡でありながら特別な登場人物で新たな世界がもたらされる」と指摘されたが、今回も吉報は届かなかった。