【前回の鎌倉殿の13人】第41話“大河絵”(鎌倉絵・殿絵)「罪なき義盛 非情の雨矢…実朝 阿鼻叫喚」
2022年11月06日 08:00
芸能
稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。物語は、江戸幕府まで続く強固な武家政権樹立を決定づけた義時と朝廷の決戦「承久の乱」へと向かう。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑んだ。
第41話は「義盛、お前に罪はない」。鎌倉を守るために大江広元(栗原英雄)とも共謀し、反北条の旗頭となった和田義盛(横田栄司)の転落を目論む北条義時(小栗)。戦を回避するべく3代鎌倉殿・源実朝(柿澤勇人)と政子(小池栄子)が奔走する中、三浦義村(山本耕史)八田知家(市原隼人)ら有力御家人は義盛の陣営に集い、情勢を見定めていた。そんな中、父・義盛の安否を心配する三男・朝比奈義秀(栄信)らが打倒北条を目指して決起…という展開。
そして、ついに「和田合戦」が勃発。戦況は北条の勝利が目前。実朝は直々に戰場に出向き、義盛を説得した。
実朝「義盛、おまえに罪はない。これからも、私に力を貸してくれ(義時と義村がアイコンタクト。義村は陣の後方へ)。私には、おまえが要るのだ!」
義盛「(感涙)もったいのうござりまする。その言葉を聞けただけで満足です。みんな、ここまでじゃ。聞いたか、これほどまでに鎌倉殿と心が通じ合った御家人が、他にいたか。我こそは、鎌倉随一の忠臣じゃ。みんな!胸を張れ!」
義村「(弓隊に)放て」
降参した義盛に無数の矢が降り注ぐ。義時の騙し討ちだった。
義時「お分かりか!これが鎌倉殿に取り入ろうとする者の、末路にござる」
眼前の悲劇に、実朝は慟哭。北条泰時(坂口健太郎)は父を睨みつけた。非道な策を講じた義時だったが、戰場を背に1人去る時、涙がこみ上げ、顔を歪めた。
夫の討ち死にを知らされ、巴御前(秋元才加)は馬に乗り、戰場に現れた。「我こそは、忠臣和田義盛の妻、巴なるぞ!」――。
今回の“大河絵”は“弁慶の立ち往生”ならぬ怒髪天を衝く“義盛の立ち往生”と実朝の阿鼻叫喚、義時と巴御前の咆哮、そして文官ながら華麗な太刀さばきを披露した大江広元(栗原英雄)を1枚にまとめた。
◇石井 道子(いしい・みちこ)絵描き。千葉県生まれ。清野菜名と松下奈緒がダブル主演を務めたテレビ朝日の昼帯ドラマ「トットちゃん!」(2017年10月期)劇中画、ウェブマガジン表紙などを手掛ける。「ALL OF SHOHEI 2021 大谷翔平写真集」「スポニチ URAWA REDS 2021 浦和レッズ特集号」(スポーツニッポン新聞社)などにイラストを掲載。ライブペインティングや即興似顔絵も各地で行う。