「鎌倉殿の13人」義時が「目指してなれなかったもの」ネット涙「過去形」「汚れ役」泰時に託した“理想”
2022年11月18日 11:00
芸能
稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。物語は、江戸幕府まで続く強固な武家政権樹立を決定づけた義時と朝廷の決戦「承久の乱」へと向かう。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は大河出演8作目にして初主演に挑んだ。
第43話は「資格と死角」。3代鎌倉殿・源実朝(柿澤勇人)の後継者は頼仁親王に決まった。実朝は後見として左大将、政子(小池栄子)は従三位に。実朝が「こうなると、太郎も何かの官職に推挙してやりたいが」と持ち掛けると、源仲章(生田斗真)は「菅原道真公と同じ讃岐守はいかがでしょう」と提案。北条泰時(坂口健太郎)は「恐れ多いことにございます」と恐縮した。
そして、仲章は北条義時(小栗)に「朝廷と鎌倉を結ぶ役割に、私より適任の者がいれば教えてくれよ。執権殿は伊豆にでも帰られ、ゆっくり余生を過ごされよ」と引退を勧告。「そうなったら、私が執権になろうかな」と高笑いした。
義時「単刀直入に言う。讃岐守のこと、断ってもらいたい」
泰時「訳をうかがってもよろしいですか」
義時「おまえは私をよく思っておらぬ」
泰時「お待ちください」
義時「分かっている。しかし私はおまえを認めている。いずれおまえは執権になる。おまえなら、私が目指していてなれなかったものになれる。その時、必ずあの男が立ちはだかる。源仲章の好きにさせてはならぬ。だから今から気をつけよ。借りをつくるな」
泰時「ご安心ください。私も讃岐守は、ご辞退しようと思っていたところです。気が、合いましたね」
義時「帰る。(立ち上がる)親王を将軍に迎える件、受け入れることにした。つまり親王は、こちらにとっては人質だ」
泰時「人質…。(立ち上がる)お待ちください。父上が、目指してなれなかったものとは何ですか」
義時は答えることなく、立ち去った。
義時が“目指して叶わなかったもの”とは何なのか。SNS上には「絞り出すこの想いにどれだけの苦悩や血が流れたか、と涙が出たよ」「義時の『目指していてなれなかったもの』という言い回しが泣ける。なれないものじゃなくて、なれなかったという過去形。あそこまで黒くなっても義時はやっぱり冷静に自分を見てるし、葛藤してるし、悲しみを捨て切れずにいるのが分かって、どうしても嫌いになれない」「今の義時は最愛の妻が残した息子のために、自分が目指して成し遂げられなかった理想を託し、現実的な汚れ役をすべて引き受けているように見える。父親としても統治者としても優秀」「なれるかもしれないじゃなくてなれるって断定してるところが最高」「泰時の横顔の凛々しさがたまらない」などの声が相次ぎ、反響を呼んだ。
第37話「オンベレブンビンバ」(9月25日)、「太郎、おまえをなぜそばに置いたのか教えてやる。父の覚悟を知ってもらうためだ」と背中で語ってきた義時。第40話「罠と罠」(10月23日)、「私は誰とも敵をつくらず、皆で安寧の世を築いてみせます」と反発した泰時。今後、泰時の問いに義時が答える日は訪れるのか。