宮藤官九郎脚本時代劇「いちげき」 染谷将太「自分が出ていなくても見たいと思った」

2022年12月29日 08:30

芸能

宮藤官九郎脚本時代劇「いちげき」 染谷将太「自分が出ていなくても見たいと思った」
正月時代劇「いちげき」の一場面(C)NHK Photo By 提供写真
 【牧 元一の孤人焦点】新機軸の時代劇が誕生した。1月3日にNHK総合テレビで放送される「いちげき」(後9・00)だ。主演した俳優の染谷将太(30)は「この時代劇の話を聞いた時、例え自分が出ていなくても正月にこれを見たいと思った」と胸の内を明かす。
 永井義男氏の小説「幕末一撃必殺隊」を原作にした漫画(作画・松本次郎氏)が原作。宮藤官九郎が脚本を手がけ、神田伯山の講談を織り交ぜながら、幕末の「農民武士」の活躍を描く。

 染谷は「農民が集められて結成した特殊戦闘部隊『一撃必殺隊』が戦う。まず題材が新しいと思った。重い話ではなく、とてもコミカルで笑って見られるが、登場人物一人一人の思いが伝わってきて胸に迫るものがある」と説明する。

 共演した俳優の町田啓太は「自分たちはどう生きたいのかというところにフォーカスが当てられている。そこから生まれてくるエネルギーや笑いは今を生きている人たちにも共感してもらえると思う」と話す。

 脚本の宮藤官九郎はこれまでNHKで連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)や大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(19年)などを手がけたが、今作では異質な時代劇を作り上げた。

 染谷は「その時代にはなかったであろう言葉、宮藤さんのオリジナリティーあふれる言葉がたくさん出てくる。『いちげき』の世界観の中で、時代劇だということを気にしないで演じることができて楽しかった。撮影現場で笑うことが多く、一撃必殺隊の1人が『イェーイ!』と言うのにはかなり笑った」と明かす。

 町田も「脚本を読んだ時、言葉遣いや行動が普通の時代劇とは違っていて驚いた。今までに見たことのない時代劇で、挑戦心がくすぐられた」と話す。

 「語り」ではなく「講談」がドラマを支えるのも特徴だ。

 染谷は「神田伯山さんの講談のパワー、力強さによって、俺たちがどんなふうに演じても講談が回収してくれるのではないかという安心感があって、好きなように演じることができた」と説明する。

 町田は「僕たちは自由度を高くして演じていいのだと思った。講談がどんどん物語を動かしてくれる。僕らは講談によって動かされてい人物でもあり、面白く見てもらえると思う」と話す。

 出演はほかに松田龍平、杉本哲太、伊藤沙莉、塚地武雅、西野七瀬ら。

 染谷は「立ち回りも多い。正月にふさわしく、笑えて、泣けて、爽快になり、明日が楽しみになるような作品」と強調する。

 仕事始めを控えて見るのに最適なエンターテインメントと言えそうだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。
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