ジェフ・ベックさん　いつまでも創作に貪欲で名フレーズをいくつも残した求道者

　【悼む】3大ギタリストたちはステージを降りた時の印象がそれぞれ違った。クラプトンはナイーブそうで口数が少ない。プロデューサーでもあるペイジは気さくで冗舌。ベック氏は常に穏やかな口調で、ゆっくりと丁寧に語った。 　アルバム「フー・エルス！」をリリース後の00年ごろの取材。既に35年以上のキャリアがあったが「私は常に新しいことを探している。そんな旅を続けている。新しいことをいつもギターで探しているんだ」と、創作には貪欲だった。ステージ上ではあまり語らないから、肉声は珍しかった。

　フィードバック奏法の先駆者。ここからロックンロールはハードロックとして進化し、エレキギターは現代音楽にとって重要な楽器となる。それでも21世紀に変わる節目にこう語った。「ギターは今後ロックのメインストリームにならないかもしれない」。で、どうだろう。いまだにギターがロックに不可欠なのは、彼のようなギターの求道者が今も次々と生まれているからでは。ギターを志す人たちが弾いてみたくなる名フレーズをいくつも残した巨星だった。（編集局次長　山崎智彦）