中川大志の役者魂 「鎌倉殿13人」で“神回”と称された小栗義時との決闘シーン“演出変更”の舞台裏
2023年01月16日 18:05
芸能
そのシーンの殺陣稽古で小栗、監督とイメージを共有しながら何度も動きや細かなしぐさを確認する中、一回り以上離れた39歳(稽古当時)の先輩であり主演でもある小栗に中川が語りかけた。「子供の頃からの関係性(幼なじみ)のケンカっていうか殴り合いになった方がいいですもんね」「真っ先に刀を取りに行って殺しに行こうというよりかは、最後の最後に本当に真っ向からぶつかって(義時と重忠の関係性や思いを)証明する…それが最後に残したい意地というか」。小栗も頷き、稽古の中で2人のアイデアが演出に取り入れられていく。
そして緊迫の決闘ラストシーンに用意されていた演出に中川は違和感を訴える。当初、中川演じる重忠が義時(小栗)に馬乗りにされ刀を首に押し付けられる絶体絶命の場面で、重忠が演出上取る行動は、必死に手を伸ばした先にある大きな石をつかみ義時を殴りつけ形勢逆転となる設定だった。中川は監督に「最後、石でぶん殴るっていうのはどうですか?」と問いかけ、武士の鑑とまで言われた畠山重忠として真摯に話し合った。
結果的に放送された決闘シーンでは石で殴ることはなかった。中川は「小栗さんと話して。(腑に)落ちてないんですよね、自分の中でやっぱりって。重忠がこの戦に向かっていくモチベーションみたいなものを改めて考えた時、最終的にはああなりましたね」と振り返った。小栗が「24歳という年齢で、凄く自分の意見もしっかり持っていて、非常に頼もしい」と評した24歳。
「結果を出したいっていうのは凄いあるんですよね。映画当てたいし、視聴率取りたいし」。どこまでも芝居を楽しみ、そして貪欲に役を追求し続け、結果を渇望する中川の役者としての「魂」を垣間見ることができるシーンとなった。