【阪神大震災28年】女性コンビ「アルミカン」高橋が語る震災「祖母が“紗織に布団を被せて”と叫んだ」
2023年01月17日 05:00
芸能
突然の大きな音、大きな揺れで目が覚めた。「何がなんだか分からなかった。祖母が母に“沙織に布団を被せて”と叫んでました」。北海道も地震が多い地域で、震度2や3など少しの揺れでは「慣れていた」と動揺もしなかったが、いつもとはレベルが違った。店舗兼自宅は、エアコンが吹っ飛び、天井が落ちるなど半壊。祖母はタンスの下敷きになったが、幸いにも軽傷で済んだ。「地震から何分かして、外に出てみたら、両隣のウチはペシャンコになってました。近くで煙が何本も上がってた。火事が凄かった地区です」。
隣家に住む叔父の車で逃げ、車の中で1日を過ごした。震度3~4の余震で揺れる度に「母にしがみついていたのを覚えています」。翌日、避難所となっていた小学校に身を寄せた。「図書館に3日間泊まりました。皆さんに優しくしてもらいました」。幼心に人の温かさを感じたそうだ。叔父は近くの火事現場へバケツリレーに借り出された。
北海道にいた父は、テレビに映し出された長田の街を見て愕然としたそうだ。「父は私と母が亡くなったと思ったそうです」。母と公衆電話の列に並び、地震発生から2日後にようやく、父と連絡が取れたそうだ。
それから1年後の冬休み、小学1年になった高橋は再び神戸に帰省し、復興途中の被災地を回った。倒壊したままの家屋、避難した小学校、更地になった空き地…。母と歩き回って、その模様を日記にしたためた。30枚ほどの写真と1冊26ページのアルバムにまとめ、自由研究の課題として学校に提出した。それが地元新聞にも大きく取り上げられ、「何か賞をいただきました」と周りから評価されたそうだ。
大学在学中にデビュー。女芸人「THE W」では準決勝に進出した。グラビアでも取り上げられる“美形芸人”として話題になる一方、ABCテレビの「パネルクイズ アタック25」で優勝するなど神戸大卒の才媛ぶりを発揮。特技の“謎解き”を生かして、YouYube「さおりんの謎解きCH」も人気上昇中だ。23日にはテレビ朝日系「Qさま!!」(月曜後9・00)に初出演する。
これまであまり被災体験を語ることはなかったが「私たちが震災の体験を伝えられる最後の世代かもしれません。これから積極的に話していきたい」と本業の漫才、クイズだけでなく、震災体験した伝承者としての活動もするつもりだ。
◇高橋 沙織(たかはし・さおり)1988年10月15日、北海道・釧路生まれの札幌育ち。中学から神戸に移り、神戸高―神戸大卒。札幌で子役として活躍。神大在学中の09年に赤阪侑子(39)とお笑いコンビ「アルミカン」を結成。KBSラジオ「アルミカンのチラリズム」(日曜後10・00)にレギュラー出演。