「タラちゃん」の声優・貴家堂子さん死去　87歳　放送開始の69年から出演 ハジメちゃん、アクビも…

　テレビアニメ「サザエさん」の「タラちゃん」の声などで親しまれた声優の貴家堂子（さすが・たかこ、本名堀内堂子＝ほりうち・たかこ）さんが5日午後、死去した。87歳。東京都出身。死因は明らかにしていない。葬儀は近親者で行った。喪主は夫堀内博周（ほりうち・ひろかね）氏。 　所属事務所によると、貴家さんは2日の「サザエさん」（フジテレビ）の収録に参加。特に病気療養などはしておらず、事務所関係者は「お元気だったので、私たちも本当に驚いています」と話した。おっとりとした人柄で「役の通りほのぼのとした方。若い役者にも慕われて交流していました」と大ベテランながら、皆に愛されていたという。

　1969年の「サザエさん」放送開始からフグ田タラオの声を現在まで務めた。サザエさん一家の声優で、初回から54年間、変わらず出演しているのは、貴家さんとフグ田サザエ役の加藤みどり（83）の2人のみ。盟友の加藤はフジテレビを通じてコメントを発表。「初回放送から50年以上、ずっと家族として歩んできた貴家ちゃん」と振り返り、「“貴家ちゃんがいるうちは私も頑張らなきゃ”と思っていたので、本当に寂しく悲しい」と思いを吐露した。

　貴家さんの最後の出演作は、26日放送の「サザエさん　ひな祭り1時間SP」となる。フジテレビは後任については「検討中」としている。

　貴家さんはほかに、テレビアニメ「天才バカボン」のハジメちゃん、「ハクション大魔王」のアクビなど、愛らしい子供のキャラクターの声で人気を集めた。所属事務所によると、「サザエさん」のタラちゃんで「最も長くテレビアニメシリーズで同じ役を演じた声優として」2019年にギネス世界記録に認定された。

　≪「サザエさん」共演声優悼む≫「サザエさん」の共演声優にも悲しみが広がった。マスオの田中秀幸（72）は「大切な宝物を失った悲しみでいっぱいです。穏やかな語り口、優しいお言葉、素敵な笑顔…しっかりと胸に刻んでおきます」と悼んだ。カツオの声を担当する冨永みーな（56）は「いつもいつも優しくしていただきました。そしてとてもキュートでいらっしゃった」と振り返った。ワカメの津村まこと（57）は「おちゃめでタラちゃんそのままのような本当に可愛らしい優しい方でした」、フネの寺内よりえ（70）は「折あるごとに温かく見守りお声がけいただいた」とした。波平の茶風林（61）は「いつもオシャレでニコニコと優しい笑顔を振りまいてくださいました」と、家族皆がしのんだ。