藤井王将 最年少6冠王手 後手番連敗3で止め、羽生九段以来29年ぶり偉業へ…確率92% 棋王戦第2局

2023年02月19日 04:55

芸能

藤井王将 最年少6冠王手 後手番連敗3で止め、羽生九段以来29年ぶり偉業へ…確率92% 棋王戦第2局
第48期棋王戦第2局で、渡辺明棋王(手前)に勝利し、感想戦で対局を振り返る藤井王将(代表撮影) Photo By 代表撮影
 将棋の第48期棋王戦5番勝負は18日、金沢市の北國新聞会館で第2局を行い、後手の挑戦者・藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=が10連覇中の渡辺明棋王(38)に132手で勝利した。第3局は3月5日、新潟市で指される。藤井は羽生善治九段(52)以来29年ぶり2人目の6冠へ、あと1勝に迫った。
 金銀5枚に囲まれた渡辺陣を攻略した。その突破口にしたのは「使い方次第で、性能が上げられる」と全8種から好きな駒に挙げる角。藤井が2度、盤面の隅へ打った端角が光っていた。

 「結果的に良くない方を選んでしまった。竜を逃げた辺りは駒損で苦しい。決め手を与えないように粘れればと思った」

 戦型は角換わり腰掛け銀。昼食休憩明け、この日一番の長考1時間49分を費やして敵陣へ飛車を放った。自陣か敵陣か。飛車を打つ場所は大きく2択の局面。ところが、渡辺の頑強な受けに遭い、退却を強いられる。

 その86手目時点では飛車と銀2枚の交換という駒損。そこから、2度目の端角を放って渡辺王を狙い、形勢を盛り返していく。今年度27勝1敗、連勝を24に伸ばす先手番に対し、後手番では16勝9敗、自己最長の3連敗中。前日の会見では「今期の成績を見ると、先後で差が大きくなっている。後手番でどう戦うかが課題」と懸念を明かしていた。

 第3局以降の3局で1勝すれば全8冠中6冠を手中にする。第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負とのダブルタイトル戦のさなかにあり、王将戦では羽生を挑戦者に迎えて2勝2敗。その羽生が94年12月、史上初の6冠に輝いた24歳2カ月を3年以上更新する最年少記録へ王手をかけた。

 棋王戦の過去47期で、第1、第2局を連勝した棋士26人中24人は、そのまま棋王を獲得した。つまり藤井は92%の確率で最年少6冠へ接近したと言える。

 「スコアは意識せず、全力を尽くしてやれれば」。第3局への意気込みをそう語った。23日に東京での朝日杯、中1日で島根での王将戦第5局、静岡で名人への初挑戦がかかるA級順位戦に臨み、新潟に飛んで最年少6冠がかかる棋王戦、そして王将戦の第6局。ハードな日程で重要対局が相次ぐ20歳が、棋界の天下統一へまた前進した。 (筒崎 嘉一)

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