藤井王将 最年少6冠王手 後手番連敗3で止め、羽生九段以来29年ぶり偉業へ…確率92% 棋王戦第2局
2023年02月19日 04:55
芸能
「結果的に良くない方を選んでしまった。竜を逃げた辺りは駒損で苦しい。決め手を与えないように粘れればと思った」
戦型は角換わり腰掛け銀。昼食休憩明け、この日一番の長考1時間49分を費やして敵陣へ飛車を放った。自陣か敵陣か。飛車を打つ場所は大きく2択の局面。ところが、渡辺の頑強な受けに遭い、退却を強いられる。
その86手目時点では飛車と銀2枚の交換という駒損。そこから、2度目の端角を放って渡辺王を狙い、形勢を盛り返していく。今年度27勝1敗、連勝を24に伸ばす先手番に対し、後手番では16勝9敗、自己最長の3連敗中。前日の会見では「今期の成績を見ると、先後で差が大きくなっている。後手番でどう戦うかが課題」と懸念を明かしていた。
第3局以降の3局で1勝すれば全8冠中6冠を手中にする。第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負とのダブルタイトル戦のさなかにあり、王将戦では羽生を挑戦者に迎えて2勝2敗。その羽生が94年12月、史上初の6冠に輝いた24歳2カ月を3年以上更新する最年少記録へ王手をかけた。
棋王戦の過去47期で、第1、第2局を連勝した棋士26人中24人は、そのまま棋王を獲得した。つまり藤井は92%の確率で最年少6冠へ接近したと言える。
「スコアは意識せず、全力を尽くしてやれれば」。第3局への意気込みをそう語った。23日に東京での朝日杯、中1日で島根での王将戦第5局、静岡で名人への初挑戦がかかるA級順位戦に臨み、新潟に飛んで最年少6冠がかかる棋王戦、そして王将戦の第6局。ハードな日程で重要対局が相次ぐ20歳が、棋界の天下統一へまた前進した。 (筒崎 嘉一)