古舘伊知郎 “むとう”610文字 自作の詩で思い伝えた 「さよなら、ムーンサルト!」
2023年02月22日 05:15
芸能
一体、プロレスラブとはなんなのか!この男に二元論は通用しない。ストロングスタイルかアメリカンプロレスか。ベビーフェースかヒールか。はたまたプロレスか格闘技か。全く通用しない。思えば昭和、平成、令和。時代は移ろっても、技、試合のありよう、観客の声援スタイルが変わろうとも、一貫してこの男は二者択一を超えて、格闘芸術をつくってきた。
作品を作るとき必ず削られていく。両の膝に人工関節を埋め込んでたどってきた、いばら道。邪心は削られたのか。団体を渡り歩き、まばゆいスポットライトを浴びながら、常に志半ばで逝った橋本を思い、プロレスに殉職した三沢を抱き、昨年亡くなった猪木を仰ぎ見ながら戦ってきた。もう限界なんて、とっくに過ぎていた。しかし限界を超えてもなお輝き続けた夢物語。そろそろ今夜がお開きか。
そうこれ、昭和プロレスの終焉(しゅうえん)なり。さあ、ザ・ファイナルカウントダウン。武藤、この610文字に愛を込めて、今積年の思いを込めて、さよなら、ムーンサルト!