男女逆転「大奥」は「NHK時代劇の集大成」 江戸時代244年間のドラマ化は初「知識と経験を結集」
2023年02月28日 07:00
芸能
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原作漫画の全19巻で流れる月日は、実に244年間。これを一連のドラマとして映画化するのは、数多の時代劇を手掛けてきたNHKでも初の取り組みとなる。岡本氏は、この物語について「家光から始まった世の中…徳川幕府が終わって、世が移り変わっても、その『志』や『思い』はきちんとつながれていくというのが、この作品のメッセージ」と、完結まで映像化することに意味があるとして、大きな挑戦を決意。例を見ない挑戦となったが「うち(NHK)の全ての知恵、これまでの経験を結集して作っています」と胸を張った。
原作のファンだと話す岡本氏。大好きな作品を映像化するにあたって、キャスト選びはこだわり抜いた。「NHKでも多くの時代劇で非常にお世話になっている、心から信頼してお芝居をしていただける方たちにたくさん出演していただいて。そのことが、男女が逆転している『大奥』の世界にリアリティーを、そして心情の普遍性みたいなものに、根拠を与えてくださっているかなと思います」とベテラン俳優陣への絶大な信頼を口に。さらに、同局おなじみの俳優陣に加えて「男女逆転ということで、通常の時代劇では絶対に演じることがない役をしていただくことになるので、意外性も心掛けた」として、時代劇初挑戦の冨永愛、仲里依紗をそれぞれの物語の主役に起用。「あえて」というキャスティングが大当たりし、これまで放送のたびに女優の名前がトレンド入りする大反響を呼んでいる。
こだわり抜いたキャスト陣に加え、このドラマの最大の見どころは「衣装」や「セット」にある。代々の徳川将軍を描くにあたって、衣装や部屋の変遷は、時代を読み解くうえで欠かせないものだ。この点について、岡本氏は「ゴージャスな華やかなものを好むのか、引き締めて質素にやっているのか。それぞれの将軍の方針が着物に出ているので、演出と衣装担当が非常に綿密に打ち合わせをして、時代ごと、その人ごとを象徴するような色味も共通でイメージを持ちながら、時代の移り変わりを見た目にも直感的に感じていただけるようにしている」とこだわりを告白。この衣装、見た目のこだわりだけではない。実際に質素を好み、木綿の装束を身に着けていた8代将軍・吉宗を演じた冨永愛は「本当に木綿の衣装なので、重くて大変でした」と明かすなど、限りなく本物に近づけている。
このように例をみない取り組みについて、岡本氏は「NHKでは、大河ドラマなど、時代劇はいろいろとやっていますけど、これだけ戦国の匂いを残す時代から幕末までを一つの作品でやるというのはほとんどなくて。着物・かつら・文化も何もかも違うので、用意するのがとても大変でした」と苦労した一面も吐露。だが「うちの各種時代劇を担当してきた演出陣が総力を結集して、知識を総動員してやっています」と自信満々。「衣装やセットの時代の移り変わり、変遷なんかも見ていただけると、ちょっとした江戸の文化史みたいになります。そのあたりもお楽しみいただけると嬉しいです」として「衣装もかつらも大変ですが、おかげ様でNHKは、スタジオに何度も江戸城を建てておりまして。ありとあらゆる時代の演出を経験した“つわもの”どもがおりますので、“何とかなる!”という自信を持って、このドラマを始めました。全ての知恵、これまでの経験を結集して作っています」と、同局の制作陣に全幅の信頼を置いた。
こうして局をあげて時間と手間とかけてでも完走させると決断した、この「大奥」で伝えたいことは。岡本氏は「家康や信長とか、一代だけではなく、その後に脈々と続く思いや志」ときっぱり。「大河でも、こんなに長い時間を描いたことがない。その人の一代だけでは終わらない『志』をつないでいく。そういう意味では、ドラマは一つの社会を描ける枠組みになっているのかな」と語り、「人は変わろうとも『どういった思いが受け継がれていくのか』というのを明確にしていくのがドラマの醍醐味。そこを大切にしてきたい」と、今回の挑戦に充実感をにじませていた。