團十郎 父が愛した街で感謝の「勧進帳」ゆかりの石川県小松市から襲名披露巡業開始 劇場名にも大名跡冠す

2023年03月05日 05:00

芸能

團十郎 父が愛した街で感謝の「勧進帳」ゆかりの石川県小松市から襲名披露巡業開始 劇場名にも大名跡冠す
石川県小松市の團十郎芸術劇場うららで「勧進帳」を演じる十三代目市川團十郎白猿 Photo By スポニチ
 歌舞伎俳優の十三代目市川團十郎白猿(45)が4日、石川県小松市の「團十郎芸術劇場うらら」の名誉館長に就任し、襲名披露公演の全国巡業をスタートさせた。同劇場は、この日をもって「こまつ芸術劇場うらら」から改称され、こちらも大名跡を“襲名”する形。「父もこの瞬間を空から眺めていると思う」と感無量の表情を浮かべた。
 雲一つない青空の下、黒の紋付きはかま姿の團十郎が人力車に乗り、JR小松駅近くの約400メートルの道のりをお練りした。沿道には5000人の見物客が並び、スマートフォンを手に「成田屋!」「十三代目!」などと呼びかけていた。

 團十郎を襲名してから約4カ月。以前には「まだ海老蔵と呼んでいただくことがありますね」とぼやくこともあったが、「ここは歌舞伎の街。9割9分の方が“團十郎”と呼んでくださった」と笑顔で語った。

 同市と成田屋とは深い関わりがある。市川宗家に伝わる歌舞伎十八番の代表演目「勧進帳」の舞台となったのが市内にある「安宅(あたか)の関」。その縁から、團十郎の父・十二代目市川團十郎さんが劇場の設計監修を務めるなど、交流が続いていた。

 父がつくった劇場を受け継ぎ、名誉館長を務める。「自分が(小松市に)来た時は、曇りか雪の予報だった。でも今日は快晴。父は晴れ男だったから、きっとこの瞬間を喜んでいるはず」と目を細めた。「責任は重い。今後は年に1回は小松を訪れたい」と宣言すると市民から万雷の拍手。「まずは、住所を移そうかな」とリップサービスも飛び出した。

 この日は中村梅玉(76)、中村児太郎(29)らと「勧進帳」を上演。團十郎は武蔵坊弁慶を熱演した。口上では「劇場が生まれ変わり、その初日に勧進帳を上演できること。父もさぞ喜んでいると思う」とあいさつした。

 巡業は27日まで、15カ所20公演を行う。 (吉澤 塁)

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