團十郎 父が愛した街で感謝の「勧進帳」ゆかりの石川県小松市から襲名披露巡業開始 劇場名にも大名跡冠す
2023年03月05日 05:00
芸能
團十郎を襲名してから約4カ月。以前には「まだ海老蔵と呼んでいただくことがありますね」とぼやくこともあったが、「ここは歌舞伎の街。9割9分の方が“團十郎”と呼んでくださった」と笑顔で語った。
同市と成田屋とは深い関わりがある。市川宗家に伝わる歌舞伎十八番の代表演目「勧進帳」の舞台となったのが市内にある「安宅(あたか)の関」。その縁から、團十郎の父・十二代目市川團十郎さんが劇場の設計監修を務めるなど、交流が続いていた。
父がつくった劇場を受け継ぎ、名誉館長を務める。「自分が(小松市に)来た時は、曇りか雪の予報だった。でも今日は快晴。父は晴れ男だったから、きっとこの瞬間を喜んでいるはず」と目を細めた。「責任は重い。今後は年に1回は小松を訪れたい」と宣言すると市民から万雷の拍手。「まずは、住所を移そうかな」とリップサービスも飛び出した。
この日は中村梅玉(76)、中村児太郎(29)らと「勧進帳」を上演。團十郎は武蔵坊弁慶を熱演した。口上では「劇場が生まれ変わり、その初日に勧進帳を上演できること。父もさぞ喜んでいると思う」とあいさつした。
巡業は27日まで、15カ所20公演を行う。 (吉澤 塁)