藤井曲線に「異常」発生 第5局優勢からグラフ下降傾向 実戦ならではの怖さが 東大院生棋士が分析
2023年03月14日 05:15
芸能
藤井曲線とは1局の将棋で、右肩上がりになっていくグラフのこと。序盤から徐々に有利となり、逆転を許さないことも特徴の一つ。「典型的なのは第3局。リードを奪ってから、最短で勝ちにいく将棋でしたね」と振り返った。
その中で、異色の曲線を描いたのが、第5局だった。攻めて優勢を築いたが、羽生の76手目△4一金辺りから、グラフが下降傾向に。「正確な指し回しをする方ですが、この時は手が広く、徐々に外れを引いたのでは」と話す。受けても相手を惑わせる羽生の大局観がキラリ。「それでも最後は羽生先生も誤算があり、藤井先生の勝ち。AIでは読み解けない、実戦ならではの怖さを感じる対局でした」と腕を組んだ。
タイトル戦はいまだ負けなしの12連勝。藤井がトップを走り続け、年内8冠の期待もかかる。「そのタイミングで、ここまで形勢が二転三転する将棋を指せたことは経験につながる。藤井先生にとって、得るものが多かったシリーズではないでしょうか」と話した。 (小田切 葉月)