藤井曲線に「異常」発生 第5局優勢からグラフ下降傾向 実戦ならではの怖さが 東大院生棋士が分析

2023年03月14日 05:15

芸能

藤井曲線に「異常」発生 第5局優勢からグラフ下降傾向 実戦ならではの怖さが 東大院生棋士が分析
王将戦初防衛を果たし、会見で笑顔でピースする藤井王将(撮影・河野 光希) Photo By スポニチ
 藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠、羽生善治九段(52)による7番勝負は4勝2敗で藤井が初防衛に成功した。
 藤井の強さを語る中で多く登場するワードが、AIによる形勢判断を数値化した「藤井曲線」。しかし羽生との決戦が行われた今回、曲線に“異常”が発生。シリーズ全6局のグラフを通じ、AI研究の東大院生棋士・谷合広紀四段(29)が分析した。

 藤井曲線とは1局の将棋で、右肩上がりになっていくグラフのこと。序盤から徐々に有利となり、逆転を許さないことも特徴の一つ。「典型的なのは第3局。リードを奪ってから、最短で勝ちにいく将棋でしたね」と振り返った。

 その中で、異色の曲線を描いたのが、第5局だった。攻めて優勢を築いたが、羽生の76手目△4一金辺りから、グラフが下降傾向に。「正確な指し回しをする方ですが、この時は手が広く、徐々に外れを引いたのでは」と話す。受けても相手を惑わせる羽生の大局観がキラリ。「それでも最後は羽生先生も誤算があり、藤井先生の勝ち。AIでは読み解けない、実戦ならではの怖さを感じる対局でした」と腕を組んだ。

 タイトル戦はいまだ負けなしの12連勝。藤井がトップを走り続け、年内8冠の期待もかかる。「そのタイミングで、ここまで形勢が二転三転する将棋を指せたことは経験につながる。藤井先生にとって、得るものが多かったシリーズではないでしょうか」と話した。 (小田切 葉月)

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