「どうする家康」溝端淳平が熱演“氏真ラスト”舞台裏 家康と一騎打ちの意味 松本潤と「珍しく話さず」
2023年03月26日 20:45
芸能
「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。
第12回は「氏真」。人名のみのサブタイトルは今作初となった。武田信玄(阿部寛)の猛攻を受け、家臣にも見限られた今川氏真(溝端淳平)は駿河・今川館を放棄。妻・糸(志田未来)は実家の北条を頼るよう勧めるも、氏真は耳を貸さない。一行が徳川領に近い懸川城に落ち延びたため、徳川家康(松本潤)は兄弟同然に育った氏真との直接対決、最終決戦に臨むことに…という展開。
氏真は予想外に手強く、徳川軍が攻め始めてから4カ月経っても、懸川城は落ちなかった。
氏真の記憶、8年前、桶狭間合戦の前。大高城兵糧入れの大役を任された家康に対し、氏真は居留守役に納得がいかない。今川義元(野村萬斎)に食って掛かると、父は「ならば、有り体に言おう。そなたに、将としての才は、ない」――。
氏真が「なかなかに 世をも人をも 恨むまじ 時にあはぬを 身の科(とが)にして」(世も人も恨みはしない。時代に合わなかった自分が悪い)と詠むと、鳥居元忠(音尾琢真)平岩親吉(岡部大)に続き、家康が現れる。氏真は槍による一騎打ちに挑むが、あっけなく敗北。すかさず自害を試みると、家康が「死んでほしくないからじゃ!今も、兄と思っておるからじゃ!」と止めに入った。
「昔から、わしを馬鹿にしておったんじゃろうが!」「皆、言っていたそうじゃ。わしの才は、蹴鞠をすることだけじゃと。父上も、わしを認めなかった」
そこへ糸が現れ、8年前、桶狭間に向かう義元の言葉の続きを明かした。
義元「あれに天賦の才はない、それは明白じゃ。じゃが、余は知っておるぞ。あれが、夜明けから夜半まで、武芸に学問に、誰よりも励んでおることを。あの気持ちを持ち続けるならば、大丈夫じゃろ。己を鍛え上げることを惜しまぬ者は、いずれ必ず、天賦の才のある者を凌ぐ。きっと、よい将軍になろう」。そして、氏真と家康が手を組み、さらに駿河が栄えることを夢見た。
父・師の真意を知り、氏真と家康は涙。氏真は投降し「そなたは、まだ降りぬな。そこで、まだまだ苦しめ」――。龍王丸と竹千代、幼少期から続く蹴鞠の思い出が家康の脳裏によみがえる。北条へ向かう氏真と糸を見送った。
氏真&家康のラストバトルについて、溝端は「氏真も肩をケガして満身創痍だったので、一瞬で決着がつきましたが、何かホッとした自分がいました。やっぱり氏真も、この乱世から早く降りたかったんだと思います」と述懐。そして「トドメは家康に刺してほしかった。おまえのせいで自分の人生が狂ったんだぞ、というぐらいの憎き敵ですけど、単にそれだけじゃなく、本当にかわいい弟で、手を取り合って今川家を繁栄させていくはずでしたから、死ぬ間際にもう一度、ひと目でも家康に会いたかったんだと思います。ただただ、もう一回、向き合いたかった。そういう意味合いの対峙だったと、演じていて感じましたね」と解釈した。
「これまで松本さんとのシーンは結構コミュニケーションを取りながら、お芝居を創っていくことが多かったんですが、この対峙のシーンに関しては、珍しくほとんど話をしなかったですね。お互い、敢えてだったのかもしれません」
実は義元も認めていた、氏真が家康に負けまいと武芸に励む回想シーン。森の中、溝端は一心不乱に木刀を振り回し、3本も折ってしまうほどの熱量だった。偉大な父を持つ“2代目”の劣等感や苦悩、家康へのコンプレックスを見事に体現した。
史実としては、糸の実家・北条を頼った後、氏真は70代まで生き、数奇な運命をたどる。“溝端氏真”の再登場が注目されるが「僕も詳しいことは聞かされていないんですけど、家康とは茶飲み友達になればいいなと思っています」と願った。