「どうする家康」“ローマ人”反響の阿部寛 信玄の特殊メイク&髭に毎回3時間も感謝 人物デザイン裏側
2023年04月30日 20:45
芸能
「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛け、嵐の松本潤が主演を務める大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。
阿部の大河出演は上杉謙信役に扮した2009年「天地人」以来14年ぶり6回目。
初回は「桶狭間の戦い」(永禄3年、1560年)が描かれ、織田信長(岡田准一)が今川義元(野村萬斎)を討つ。武田信玄(阿部寛)は「ほう、そうか。駿河殿が尾張のうつけにのう。どうりで南の空に不吉なものが生ずるわけよ。されど我が甲斐にとっては、吉兆となろう」――。
信玄の姿が映ったのは15秒ながら、圧倒的な存在感。「武田信玄」がツイッターの世界トレンド46位(1月8日午後10時)、「ローマ人」がYahoo!リアルタイム検索50位以内に入る反響を呼んだ。
視聴者が「ローマ人」を連想したのは、阿部が主演映画「テルマエ・ロマエ」シリーズで古代ローマ帝国の浴場設計技師ルシウス・モデストゥスを演じたため。信玄の風貌や衣装、甲斐の山奥の異国感にイメージが膨らんだ。インターネット上には「武田信玄があまりにも古代ローマ人w」「風呂好きローマ人みたいな武田信玄、最高w」などの声が相次ぎ、大反響。その後、信玄は要所要所に登場。その度に「ローマ人」がSNS上の話題となった。
今作の人物デザイン監修は、映画「シン・ゴジラ」「翔んで埼玉」など数々の作品を手掛ける柘植伊佐夫氏。NHKドラマは大河「龍馬伝」「平清盛」や「岸辺露伴は動かない」などを担当した。
柘植氏によると、今作の信玄の平服は臨済宗を信仰していたことから「原初的な法衣の姿」がベース。素朴な白の荒い麻の生地に赤い縁取りを施したが「これは『白=神性』と『赤=武田の赤備え』に由来しています」と説明した。
甲冑姿については「圧倒的に赤の分量を増やして一国を率いる戦国の英傑に相応しい風情にしています。阿部さんは身長も高く存在に迫力がありますから、それをさらに盛るように赤の法衣に綿入れを施して一段と体を大きく膨らまし、カリスマを増して作りたいと思いました。(信玄の兜として知られる)『諏訪法性兜』には白熊(はぐま)という白いヤクの毛が付いていますが、この分量も通常の1・5倍近く増やし、長さもそれに比例して迫力を出しています。いずれも『戦国最強の武将』を表現するためのカリカチュアです」と工夫。
キャスティング決定後は「『深い彫りのメイク』『尋常ではない量の髭』にしたいと考えました。これは演劇的に誇張することで、家康が想像する『目に見えない恐怖』の象徴として具現化したいと考えたからです」と明かした。
メイクへの阿部の反応は「ご自分でも積極的に『こんな風にしよう、あんな風がいいかな』という感じで、ご意見を出されていました。髭については『迫力がないとね』というようにおっしゃっていました。自分もどこまで盛れるかなと思っていましたが、ご本人がビジュアルに前向きで非常に助かりました。平服については『これ、ローマの衣装もこんな色合いなんだよね』、赤の法衣・鎧兜については『重いね』とおっしゃっていました。一つ一つ端的なご意見やご感想で、朴訥とした人柄を垣間見た思いです」と感謝した。
インターネット上の“ローマ人反響”は「臨済宗や達磨大師をイメージのベースにして、全く『テルマエ・ロマエ』を意識しないで進めた衣裳衣裳デザインなので、この反響には大変驚きました」と予想外。それでも「反響の内容が自分の意図とは違っていても、ご覧になる皆さんに喜んでいただけるのは大変うれしいことだと感謝しております」と謝意を表した。