藤井叡王3連覇へ王手 史上最速!所要62局でタイトル戦50勝 羽生九段の78局を大幅更新

2023年05月07日 05:10

芸能

藤井叡王3連覇へ王手 史上最速!所要62局でタイトル戦50勝 羽生九段の78局を大幅更新
第3局に臨む藤井聡太叡王(日本将棋連盟提供) Photo By 提供写真
 将棋の藤井聡太叡王(20)=王将、竜王、王位、棋王、棋聖を含む6冠=が挑戦者に菅井竜也八段(31)を迎える第8期叡王戦5番勝負第3局は6日、名古屋市の料亭か茂免(もめ)で指され、先手藤井が163手で勝利した。対戦成績を2勝1敗とし、叡王戦3連覇へ王手。タイトル戦50勝の節目も、所要62局の史上最速で達成した。
 振り飛車党の菅井が、十八番の三間飛車を3局連続採用した。そして相穴熊の堅陣を削り合った中盤戦。「かなり判断の難しい将棋で、どういう形で本格的な戦いになるのか分からずに指した」。終局後の第一声は本音だったろう。

 棋界の少数派、振り飛車党とは初のタイトル戦だったからだ。史上最年少6冠ながら、経験値の低い戦型の急所を捉えるのに苦心。74手目に角金交換、100手目に飛車桂交換。藤井は大駒を次々手放してまで攻めを急ぎ、自王の安定を図った。

 「千日手を受け入れた方が良かったかもしれない」。同一局面が4度現れると先手後手を入れ替え、初手から指し直す千日手も脳裏にちらついた。勝率上、若干有利な先手の利を失ってまでリセットする誘惑にとらわれた。

 勝機は、重ねた我慢の先にやってきた。「1分将棋に入って悪い手が続いたと思う」。菅井の回想が示す緩手を逃さなかった。と金による、足は遅いが着実な攻め「と金の遅早(おそはや)」で堅陣を攻略した。

 羽生善治九段(52)が94年王位戦で打ち立てた、所要78局でのタイトル戦50勝を大幅更新。年齢でも、当時23歳11カ月の羽生を、20歳9カ月の藤井が3年以上短縮した。

 その1勝目は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除され、対局再開された20年棋聖戦。17歳10カ月でタイトル挑戦、17歳11カ月でタイトル獲得の最年少記録を樹立した。あれから3年。もう不敗神話と呼ぶべき、1勝1敗で迎えたタイトル戦第3局を7度目も勝利し、番勝負の主導権を再度掌握した。
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