キヨピー 亡き父を思い出す時にセットの言葉「実るほど…」 でも、実践するのはめっちゃ難しいよ

2023年05月09日 18:30

芸能

キヨピー 亡き父を思い出す時にセットの言葉「実るほど…」 でも、実践するのはめっちゃ難しいよ
大好きなほうじ茶カプチーノ。これを飲むと癒されるの Photo By スポニチ
 【谷口キヨコのごきげん!? SOLOライフ】以前、母が言った「大人になったら、ちょこちょこお金がかかる」について、お話ししました。大人になれば確かに自分の身の回りにお金がかかります。それは大変なことでもあり、ありがたいことでもあり、やはり年齢を重ねた証拠といえるかもしれません。
 で、今回は父の言葉。父が生きてたら「なんや、お母ちゃんの言葉の方が先か」ってぼやくでしょうね(笑い)。日常会話はもちろんしてましたが、父とはそんなにちゃんと話したことはなく…。そうですね、がっつり話したことって、ほとんどなかったかもしれません。

 そんな父は私が大人になってから、急にこの言葉を連発するようになりました。「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな。ちゅうてなぁ」と。ちゅうて、どうこうとは言いませんでしたが、実家に戻るとよく言われました。(大学も出て、もう1人暮らししていた頃のこと)。

 仕事で成果を上げて<実ってる>感じではなかった私ですが、社会人になって何年かたったあたりから、よく、まるで独り言のように、でも私に聞こえるように言ってたな、お父さん。

 今思えば、あの頃は社会に慣れてきたこともあり、分かったようなこと、偉そうなことも、言ってたんやろなぁ、私。それに対して聞こえるか聞こえないかの感じで、私に何度も同じことを言っていた父。面と向かって言っても、私がちゃんと聞いたフリして上手に受け流すこと、分かってたんやろなぁ。

 きっと、あれは父が私と自分自身にも言っていた言葉ではないか、と思います。あの頃、まさに人生の実りのときを迎えていた父。ちょうど今の私と同じぐらいの年齢です! 父は自分が社会生活を送るうえで気付いたのでしょう。だからこそ、私に独り言みたいに言っていたのかなぁ。「おまえ、今から頭を垂れる癖つけとかないとえらい目にあうで!」と。

 何度も何度も言うから、その言葉はまるでおまじないのように、私のからだの中に入ってきてたまっていきました。父が亡くなった今では、父を思い出すとき、セットであの言葉を思い出すほどです。

 同じ仕事を何年もやっていると、それだけで実りだと勘違いしてしまう。時は実っても、それと同様に自分に実がなっているわけではないのに…。

 でも、年齢重ねると偉そうにしちゃいますよね、してます、私も、実際。してないつもりでも、その日一日を冷静に振り返れば偉そうなこと言ったりしてるもん。自覚しててもしちゃうアホな私。<自分>ていう自我の塊から、幽体離脱して<自分>を見てみたら…うわ~偉そうなやつやなぁ。嫌やわ~こんなやつ。それ、私やけど…てな具合に。

 お父ちゃん、単に年齢重ねてるだけやけど、頭を垂れるの、めっちゃ難しいよ。実がなってるわけでもないのに頭でっかちになってて、謙虚になれない。あっ、こんな話をしたかったな、父と。

 背がとても高かった父は、いろんなところで少し前かがみになることが多かったのです。その姿を思い浮かべると実った金色の稲穂のようでもあります。
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