藤井王将が角換わり“拒否” 渡辺名人の誘いに得意戦法封印で驚きの新境地 名人戦第3局

2023年05月14日 05:30

芸能

藤井王将が角換わり“拒否” 渡辺名人の誘いに得意戦法封印で驚きの新境地 名人戦第3局
名人戦第3局に臨んだ藤井聡太王将(日本将棋連盟提供)
 渡辺明名人(39)が挑戦者に藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋王、棋聖を含む6冠=を迎えた第81期名人戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)7番勝負第3局は13日、大阪府高槻市の高槻城公園芸術文化劇場で指され、渡辺が41手目を封じて1日目を終えた。各9時間のうち、渡辺が3時間32分、藤井が4時間32分消費。渡辺が初勝利か、藤井が史上最年少名人と7冠へ王手の3連勝か、2日目が指し継がれる14日夜に判明する。
 午前9時の対局スタートからわずか10分後、早くも見せ場が訪れた。先手渡辺が9手目、角換わりへ進むべく角交換の態勢を整えた。ところが藤井は渡辺角を取って角を成るどころか、自ら角道を閉ざし、角交換を拒否した。

 「ビックリしました」。立会人の久保利明九段(47)の驚きもうなずける。戦型選択を相手に委ね、自然な指し手を重ねるのが藤井流。相手の準備や得意戦型に飛び込み、打ち破ることで相手の思考を会得し、経験値も引き上げてきた。

 この日は違った。角換わりは自身最大の得意戦法。全公式戦の約3割と最も指している。しかもこの9手目までの局面はデビュー以来5勝2敗の過去7局、全て先手の角を取って角交換してきた。

 8局目で初めて、自ら手を変えた。久保は「心境の変化なのか、やりたい形の一つなのか」と、藤井にとってその後の手順の方針が定まらず、だからこそ関心のある課題局面があった可能性を示した。藤井の過去7局の内訳は5連勝の後、直近は連敗中だった。

 また、第1、第2局ともに角交換を挑んでは渡辺に拒否され、結果的に勝ってきた。今度はお返しとばかり、「角不交換」という新境地を切り開く思惑の表れだろうか。

 将棋盤のマス目と同じ「盤寿(81歳)」を迎えた名人戦に初出場した。過去80期で開幕から連勝した名人、もしくは挑戦者はのべ43人いて、うち37人がリードを守って7番勝負を制した。勝率86%。優位に立つのは藤井だろうが、結末は果たして。「銀が前へ出て、攻めの態勢を整えているのは藤井王将。王の堅さでは渡辺名人です」と久保。2日目は、午前から激戦に入りそうだ。

 ≪おやつに「パンダ」≫藤井は午後のおやつで愛嬌(あいきょう)のある表情が人気のホワイトチョコムースのケーキ「パンダ」を頼んだ。レモネードソーダ割りも注文し、渡辺はドイツのベイクドチーズケーキ「アイアシェッケ」とカフェラテだった。午前は藤井が生のパイナップルをこしあんとわらび餅などで包んだ「パイン蕨(わらび)」で、渡辺が「レモンのモンブラン」。昼食は藤井が「2種あいがけカレー」とアイスアールグレイティー。渡辺は「鰻(うなぎ)定食」だった。

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