渡辺名人 87手で勝利し1勝2敗に 藤井王将との名人戦第3局で初勝利 「とりあえず良かった」
2023年05月14日 20:53
芸能
この勝利で18年度朝日杯以来の対戦成績を4勝18敗とした。棋界の序列2トップによる5度目のタイトル戦。その勝敗も渡辺の0勝4敗で、意外すぎる大差がついたが一矢報いた。
先手で迎えた渡辺は前日、9手目で左銀を上がって角換わりを打診した。藤井にとって全公式戦の約3割を指す十八番。その得意戦型へ自ら飛び込む意欲の表れだった。
テニスのサーブ権になぞらえられる先後の手番を重視する渡辺は、勝率で若干優位な先手番で必勝を期してきた。対藤井戦の過去21局、角換わりは渡辺の3勝4敗。負け越しだが、20年度棋聖戦第3局、21年度銀河戦、昨年度棋王戦第3局と藤井から奪った白星の全てでもあった。
ところが藤井は渡辺角を獲って角を成るどころか自ら角道を閉ざし、角交換を拒否。渡辺は金矢倉、藤井は雁木(がんぎ)に組む前例の少ない力戦へ進行した。
そこでつかみ取った1勝は重い価値を持つ。角換わりに止まらず今回の矢倉戦に見出した鉱脈を、7番勝負だけでなく対藤井戦の反攻へのきっかけとしたい。