「どうする家康」夏目広次・甲本雅裕“第9回の涙”「言葉にならない複雑な感情」前日に知った“真相”
2023年05月19日 13:00
芸能
「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。
第18回は「真・三方ヶ原合戦」。討ち取られたかに思われた徳川家康(松本潤)。その亡骸は、金荼美具足(きんだみぐぞく)に身を包んだ夏目広次(甲本雅裕)だった。
夜、三方ヶ原の集落。逃げ延びた家康たちが潜んでいるところに現れたのは、夏目だった。家康は思い出した。夏目の名前をいつも間違えていたのは、幼少期の記憶があったため。「おぬしは幼い頃、わしと一番よう遊んでくれた、夏目“吉信”じゃろ」。家康は三河一向一揆の際、夏目の謀反の罪を不問に。金荼美具足をまとった夏目は「足りませぬ。一度ならず二度までも、殿のお命を危うくした。この不忠者を、ここまで取り立ててくださった。これしきの恩返しでは足りませぬ」――。
24年前、蒲郡の港。夏目“吉信”は幼き家康を織田にさらわれる失態(第2話、1月15日)。家康の父・松平広忠(飯田基祐)は夏目に改名を促し、切腹を免じた。
夏目は「せめて、24年前に果たせなかったお約束を、今、果たさせてくださいませ。今度こそ、殿をお守りいたします」。家康は嗚咽が止まらず「駄目じゃ、吉信、駄目じゃ」と引き留めるが、夏目は「殿が死ななければ、徳川は滅びませぬ。殿が生きてさえおれば、いつか信玄を倒せましょう。殿は、きっと、大丈夫」。幼き家康に掛けた言葉と同じものを最後に伝え、家康の身代わりとなるべく、敵兵に向かっていった…。
「三河一向一揆」「伊賀越え」と並び、徳川家康の“3大危機”に数えられる「三方ヶ原の戦い」が2週にわたって描かれた。
2002年4月期の日本テレビ「ごくせん」、08年5月公開の映画「隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS」など、松本が若い頃から共演している甲本だが「敵味方で言うと、味方の役は今回が初めて。だから、何だかテンションが上がってしまって、甲本個人としては潤くんを助けたい、救いたいという思いが強かったですね。役者としては、ちょっとダメなのかもしれないですけど(笑)。僕が『母性をくすぐられる』と言うのも変ですけど(笑)、今回の家康を演じる潤くんにはそういう部分もあって、素直に『殿』と呼べました」と家臣団入りを喜んだ。
第9回「守るべきもの」(3月5日)、謀反の罪を不問とされた広次は小刻みに体を震わせ、堰を切ったように涙。実は、このシーンの撮影の前日に“名前間違いの真相”が明かされる第18回台本の準備稿を渡されていた。
甲本が夏目役を演じていくにあたり、早く知ってもらった方がいいとスタッフが急ぎ「最初に読んだ時は『マジか』と思いましたね。翌朝、潤くんに会った瞬間、『読んだ?』『ヤバいですよね』という会話になりました。そして、第9回の不問にされるシーンを撮ったわけですが、(夏目と家康の過去を知り)最初は潤くんの目を見られなくて。自分はどうするべきなのか、ここに存在していいのかと、言葉にならない複雑な感情が湧いてきました。この時点では視聴者の皆さんは夏目の顛末を知らないわけですけど、殿への思いが伝わっていたなら、本当にうれしいですね」と名演を振り返った。