「どうする家康」ネット話題“空城の計”作劇の舞台裏“罠を警戒”は山県→勝頼、信玄“浜松城スルー”の訳
2023年05月20日 08:30
芸能
「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。
「三河一向一揆」「伊賀越え」と並び、家康の“3大危機”に数えられる「三方ヶ原の戦い」は第17回「三方ヶ原合戦」(5月7日)、第18回「真・三方ヶ原合戦」と2週にわたるボリュームで描かれた。
夜、浜松城は武田四郎勝頼(眞栄田郷敦)の部隊に攻め込まれるが、酒井忠次(大森南朋)の機転により徳川軍は難を逃れた。
忠次が石川数正(松重豊)に明かした策は、兵法三十六計の一つ「空城(くうじょう)の計」。「門を開けよ!」(数正)「城門を開け放て!篝火を焚いて息を潜めよ!」(忠次)。勝頼は罠を警戒し、いったん引き返した。
翌朝。穴山信君(田辺誠一)は「軍勢が迫っておるにもかかわらず、敢えて城門を開け放ち、何か罠であるように見せかけ、敵を惑わせる。かの諸葛孔明が採ったとされる奇策でござる」、山県昌景(橋本さとし)は「しかし、本当にやる奴は初めて見た」。武田信玄(阿部寛)は十分に徳川軍を叩いたと、浜松城を見逃し。「わしは時が惜しいのじゃ。1日たりとも無駄にしとうはない」と京へ急いだ。
しかし、武田軍は突如、甲斐へ引き返し始める。出陣前から体の異変に襲われていた信玄だが、馬にもまたがれない状態に陥った…。
放送終了後(14日午後9時)には「空城の計」がツイッターの世界トレンド13位に入るなど、SNS上で反響を呼んだ。
空城の計を行ったのは浜松城に帰還した家康、突入をためらったのは昌景と伝わるが、今作はそれぞれ忠次と勝頼に。磯CPは「果たして、百戦錬磨の山県がだまされたのかというのは疑問だったんですよね。そこで、まだ戦の経験が浅い勝頼なら、というアイデアで古沢さんが書いてくださいました」。そして、信玄は何故、徳川を滅ぼさなかったのか。
「劇中の信玄の台詞にも『それでも、一朝一夕にはいかん』とありますけど、徳川が籠城戦に入れば時間がかかる。その余裕が武田になかったのは、信玄の体調が関係している、というのが研究の歴史主流になっています」。死因は「消化器系の病気」「結核」などの説があるが「信玄が三方ヶ原の前から体調を崩していたという記録は残っていて、自分の余命に気づいていたという説もあります。手堅く、計算高かった信玄が、信長に狙いを定めるこのタイミングでアグレッシブに転じるんですよね。その動機づけが何なのかと考えると、劇中の台詞のように『時が惜しい』と思ったのかもしれません」。次回予告の信玄は「黄泉にて見守る」――。戦国最強の男も病魔には敵わないのか。