井頭愛海 先輩・小芝風花との共演ドラマで「成長した姿をお見せできる」
2023年06月02日 08:30
芸能
スープカレー店でアルバイトする主人公・鼓田ミナレ(小芝風花)がラジオのパーソナリティーとして開花していく物語で、箱崎富美はミナレら個性の強い人々を常に客観視して行動する役回りだ。
「登場人物の中では視聴者のみなさんにいちばん近いと思います。周りの人たちが飛び過ぎている分、富美が案配を考えている感じで、まさにメーターをゼロにするレコーディングエンジニアのような役割です。私自身はどちらかと言うと、すぐにボケたがるタイプなので、演じていて、富美のように冷静でぶれない面を持ち合わせたいなと思いました」
富美は普段、局内で作業しているが、5月12日放送の第4話では、放送作家が監禁された場所で番組を収録するため、大きなガンマイクを持って外に飛び出した。
「ガンマイクが重くて腕がもげそうになりました。ミナレが長くしゃべっている間、ずっとマイクを向けていて腕がプルプルしちゃいました。ラジオ局から本物をお借りしていたので、落として壊しちゃいけないという思いが強かったです。私がこの仕事を始めてからずっと、現場で一生懸命に取り組んでいる音声の方やカメラの方のキラキラしている姿を感じていたので、それを自分が体験できてうれしかったですし、みなさんの苦労が身に染みて感謝の気持ちが募りました」
ミナレを演じる小芝風花は同じ事務所の先輩。小芝は2011年に「イオン×オスカープロモーション ガールズオーディション」グランプリ、自身は翌12年に「全日本国民的美少女コンテスト」審査員特別賞で芸能界入りした。
「風花ちゃんとは10代の頃から事務所のレッスンで一緒でした。『困ったことがあったら連絡してね』と言ってくれる、頼れる先輩です。普段はふんわりしていますが、ミナレになり切ると、とてもエネルギッシュで表情豊かです。最初の本読みの時、風花ちゃんの声のトーンと口調がアニメのミナレそのものの感じだったので思わず『凄いですね!』と言っちゃいました。私の前を走っている人で、刺激をたくさんもらっていて、私も良いお芝居ができるように頑張らないといけないという気持ちになります」
今年はNHK大河ドラマ「どうする家康」第9回(3月5日放送)で大河初出演。本多正信(松山ケンイチ)が徳川家康(松本潤)に反旗を翻す要因となった女性・お玉を演じた。
「NHKさんの時代劇に何本か出させていただいていて、今回、声をかけていただきました。光栄でしたが、背負っているものが大きな女性の役だったので、不安と緊張がありました。その時代の資料を読み、リハーサルを重ね、演出の方と話して細かく人物像を作り上げました。現場では、出演者のみなさんがいろんな方向からお芝居にアプローチしているのが勉強になりました。松山ケンイチさんに助言していただいて私も自分の考えを言うことができて、これまでのお芝居の価値観が変わりました」
そんな貴重な経験を持って臨んだのが今回のドラマ「波よ聞いてくれ」の現場だった。
「富美は堅いイメージですが、最終話に向けて、コメディーっぽい動き、みんなとの掛け合いで生まれる面白さが出てきます。頼もしい姿、成長した姿をお見せできると思います」
それはもちろん、富美の成長であるとともに役者・井頭愛海の成長でもある。
◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。