藤井新名人 「温故知新」と揮毫 谷川17世名人の逸話を意識 4勝1敗での獲得から一夜明け取材

2023年06月02日 09:43

芸能

藤井新名人 「温故知新」と揮毫 谷川17世名人の逸話を意識 4勝1敗での獲得から一夜明け取材
囲み取材に臨む藤井新名人(撮影・河野 光希) Photo By スポニチ
 将棋の第81期名人戦7番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)第5局に勝利し、シリーズ成績4勝1敗で名人戦初挑戦で奪取に成功した藤井聡太新名人(20)=王将、竜王、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=が2日、長野県高山村の緑霞山宿・藤井荘で一夜明けの囲み取材に応じた。
 夜12時頃に寝て朝6時に起きたという藤井は、師匠の杉本昌隆八段(54)から「おめでとう」とのメールが届いたというが「まだ返事ができていないので返事をしたい」と苦笑い。主催社の求めに応じて揮毫(きごう)した言葉に「温故知新」を選んだと明かし、「自分自身、昔の棋士の方の将棋を並べることが少なかった。これからできれば」と意図を語った。

 棋界の全8冠中、最古で戦前から続くタイトルへの敬意を語ると共に、「谷川先生(浩司17世名人)が揮毫した言葉と聞いて、そこを意識した」とも付け加えた。

 第5局で渡辺明名人(39)を94手で破り、谷川浩司17世名人(61)の持つ史上最年少名人記録(21歳2カ月=1983年)を40年ぶりに、羽生善治九段(52)の史上最年少7冠記録(25歳4カ月=96年)を27年ぶりに更新した。

 83年に加藤一二三・九段(83)から4勝2敗で奪取した谷川は、その終局後の記者会見で、「実力より地位が先行していますので、タイトルは1年預からせていただきます。そして来年の挑戦者に挑戦する気持ちで指したいと思います」と語った。その逸話を元々知っていたそうで、「素晴らしい言葉だと思っていて、対局では常に挑戦者の気持ちで臨みたい」と藤井も賛同した。

 次戦は佐々木大地七段(28)を挑戦者に迎え、4連覇に挑む棋聖戦5番勝負第1局が5日、ベトナム・ダナンで控える。藤井にとっては初の海外対局であり、7月からは同じ佐々木との王位戦7番勝負が始まる。

 つまり佐々木との併せて12番勝負。その将棋の印象について「充実されていて、強い相手だなと思う。公式戦では久しぶりの対戦なので、頑張っていきたい」と意気込みを示した。過去2勝2敗で、21年9月以来2年ぶりの対局となる。

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