「どうする家康」岡崎体育 一夜限りの登場に驚き「すぐ死ぬんだ(笑)」鳥居強右衛門“決死の直訴”舞台裏
2023年06月04日 21:00
芸能
「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどのヒット作を生み続ける古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。
第21話は「長篠を救え!」。武田に包囲された奥三河の長篠城。城主・奥平信昌(白洲迅)は落城寸前のピンチを伝えるため、家臣・鳥居強右衛門(岡崎体育)を岡崎へ。強右衛門の手紙を受け取った徳川家康(松本潤)が織田に援護を求めると、織田信長(岡田准一)は2万を超える軍勢を率いて岡崎に現れる。天下一統に突き進む信長は、参戦の交換条件として家康に無理難題を押しつける…という展開。
夜、酒宴。信長は「清須同盟」を破棄、家康も織田の家臣になれ、と要求。家康は反発したものの、強右衛門、亀姫(當真あみ)と瀬名(有村架純)の“決死の直訴・仲裁”により、決裂は回避した。
織田・徳川の援軍が来ると伝えるため、強右衛門は「走れ 走れ 強右衛門」などと自身の歌を口ずさみながら、長篠へ激走。無事に帰還したと思いきや、道中、武田四郎勝頼(眞栄田郷敦)に捕まった。
夜が明け、仕官と金を条件に脅された強右衛門は長篠城に到着。「徳川様は助けに来ん!わしらぁ見捨てられた!」と泣きながら嘘をつく。しかし、岡崎城を発つ前、「ようございましたな」と励ましてくれた亀姫を思い出し、翻意。「皆の衆、まあちいとの辛抱じゃ!持ちこたえるんじゃ!」――。見張っていた勝頼は、強右衛門を磔(はりつけ)に。「殿、徳川の姫君はなぁ、麗しい姫君様じゃ!」――。信昌らが泣き叫ぶ中、武田兵の槍が強右衛門の体を貫いた。
鳥居強右衛門が磔にされた姿を描いたとされる旗指物「落合左平次道次背旗(おちあいさへいじみちつぐせばた)」や絵図「鳥居勝商磔殺之図(とりいかつあきたくさつのず)」が有名。今作は逸話に沿い、凄まじい散り際が描かれた。
物別れに終わりそうな状況を打ち破る信長への直訴シーンについて、岡崎は「史実では、信長は鳥居強右衛門のことを凄く気に入って、磔で亡くなった後も信長がお墓を建てたのだそうです。信長は心のテリトリーに踏み込んでくる人を好きになるところがあるのかなと思っているので、意識的に無礼に振る舞おうというのは決めていました。岡田准一さんも『つかみ掛かってきてもいい。失礼とか全く気にしなくていいから』と言ってくださっていたので、できるだけ失礼になるように心掛けました(笑)」と述懐。
役作りについては「今回のドラマで描く強右衛門は泥まみれで清潔感のないキャラ設定ですので、台詞を話す時に不自然に眉間にシワを寄せたり、歯を剥き出して笑ったりと台本に描かれていない野生感を意識しました。不快感と愛されキャラの両立はとても難しいですが、お芝居は難しいほど楽しいのでやり甲斐がありました」と明かした。
「ぶっきらぼうで不器用なイメージもありましたが、実際に演じてみて感じたことが一つありました。『強さ』とは武功や腕力ではなく、仲間を守りたいという思いが苦しさや痛みを凌駕した時に生まれるものだということです。彼の人生には、その強さがありました」。大河デビューにして1話限定の出演だったが「登場して、すぐ死ぬんだというのは驚きました(笑)。一夜限りの登場だからこそ、自分の芝居でどう強右衛門の存在感を出せるのかというのは楽しみでした」。鮮烈な印象を焼きつけた。