桂米団治 5月に死去の上岡龍太郎さん偲ぶ「特有の美学を持ったまま行かれた」
2023年06月15日 16:20
芸能
もちろん、仕事の手を緩めるわけではない。独演会では師匠で、人間国宝で父の桂米朝さんが復活させた「稲荷俥」と「崇徳院」を演じ、中入り後は仕方噺「勧進帳」を披露する。仕方噺とは身ぶり、手ぶりをまじえてする落語のこと。笛は桂米輝(38)、三味線は浅野美希(51)が担当する。
「歌舞伎を1時間見ても勧進帳のストーリーが全く分からない方が多い。丁寧に説明を入れて、お客様にも感動がよく分かるように」と説明的な部分を多く取り入れ、前半部分は喋りを多くして通常より長い40分バージョンで演じる。源義経、武蔵坊弁慶、富樫の1人三役。米朝さんに弟子入りした頃、お酒が入ると勧進帳の富樫を始め出す師匠のおかげで「弁慶のセリフを覚えた」。また、5月に亡くなった上岡龍太郎さんとも小米朝時代の95年12月に共演したお題目。「上岡さんを憧れのように追いかけてた。引退して23年。潔いいなと。上岡さん特有の美学を持ったままあの世へ行かれた」と故人を偲んだ。
芸歴45周年の今回、「集大成に」とひとつの区切りをつける決意も。「終わったらまずは断捨離です。(2年後に)米朝生誕100年を迎えます。あれもこれもと1人で抱え込むのはしんどい。そぎ落とす。整理して、残っているものを、何か見えてくるものを極めたい」と言う。
先日出演した俳優・松平健(69)が主演の舞台「五月薫風特別公演」(大阪・新歌舞伎座)では歌謡ショーにも参加し、マツケンサンバを踊って歌った。「楽しかった。ストレス解消になりました」とニンマリ。「マツケンサンバのように楽しめたら。お客様も演者も楽しめる高座を目指したい」と決意を表した。