寺島進 我慢できず火をつけた1本のタバコが招いた悲劇「もしかしてオレのこと言ってるのかなって」
2023年06月24日 20:42
芸能
寺島にとって俳優人生の転機は、北野武監督の映画「その男、凶暴につき」(1989年)への出演。それまでは出番に恵まれず、精神的にも腐っていた。アメリカへの放浪を決めたのは、その当時。草野球仲間だったホスト役の小沢仁志にも「決意」を伝え、「いいじゃないか」と背中を押され海を渡った。
ただ、いきなり出だしでつまづく。「ニューヨークからロサンゼルスまで横断バスってあると思ってたんですよ、てっきり」。直通便で旅するはずが、アトランタ、ニューオリンズ、エルパソなどを経由してロサンゼルスにたどり着く「大旅行」に。事件が起きたのは、テキサス州を走っている時だった。
「横断バスでさ、寝泊まりしてたんだよ。48時間、(ずっと)乗ってる感じもあったから。寝て、朝起きたらタバコ吸いたいじゃない。で、トイレがあるわけよ、バスの後ろに」
「欲望」に勝てず、一服を終え、満足感とともに席へ戻った時、車内アナウンスが流れ始めた。「英語で何か喋ってんすよ。ナントカナントカって。でも、Smokingってワードは聞こえるんですよ。あ、もしかして、オレのこと言ってるのかなって」。そしてバックミラーで目が合い、運転手に手招きされて行くと、「Next bus stop、get out of here(次の停留所で、このバスから降りろ)って言われて」
降ろされたのは、砂漠などが広がるテキサスのど真ん中。小沢に「40年前でも、アメリカはそんなに喫煙うるさかった?」と聞かれ、寺島は「うるさかった、バスは特に」と苦笑いしていた。