「演劇界の東大」文学座 29日から上演「夏の夜の夢」に注目集まる「今だからこそ」

2023年06月27日 07:40

芸能

「演劇界の東大」文学座 29日から上演「夏の夜の夢」に注目集まる「今だからこそ」
文学座のホープで「夏の夜の夢」の出演を控える池田倫太朗(左)と演出の鵜山仁氏 Photo By スポニチ
 劇団「文学座」が6月29日~7月7日、東京・新宿の紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAで、シェークスピアの名作「夏の夜の夢」(訳・小田島雄志)を上演する。
 コロナ禍やウクライナで戦争が起きている今だからこそ、舞台関係者の間では「『演劇界の東大』といわれる劇団の込めるメッセージが観客の胸に響きそうだ」と注目されている。

 愛しか見えなくなった人間たちとそそっかしい妖精たちが奏でる喜劇。愛のために世を捨てることを選んだカップルが夏至の夜、妖精の森へ入ったことからストーリーが始まり、観客を異世界へ導いていく。

 演出の鵜山仁氏は「映像がない時代の作品。見えないものと交流すること、当時の人は結構そういったことを信じていたんじゃないか。そういったパワーをもう1度思い返すことがないと、ライブで芝居をやっている意味がない」と意気込みを口にする。さらに、不安に包まれている現代の上演に「目に見えないものを見ないといけなし、死んだ人の声を聞かなきゃいけないし、聞こえないこえを聞かないといけない時代。それが、どうやったらできるかといえば、体の中の記憶…、何億年単位の記憶というものがあると信じないとできない。そういうことはアートがやんなくちゃいけないことなのかなと思っています」と意義を語る。

 出演するのは、若手からベテランまでの文学座の精鋭。劇団内のオーディションで選ばれた面々が起用される。俳優たちの定評ある演技はもちろんのこと、キャンドルアートが映像で彩り、パーカッションの生演奏が会場を包み込む演出が用意されており、異世界に引き込まれるのは必至だ。

 鵜山氏は「企画は手順を踏んでよしOK!というものがうまくいくとは限らない」とし、「偶然そのへんに置いてある本をめくって『これ、やる?』というのがわりとうまくいく時もある。今作は会議でやったら時期的にも面白いかな?って食いつきがよかった」と過程を振り返る。「暗い話になるけれど、死ぬことが前提になっていないと生きがいなんてない。若い人たちは金を出せば、不老長寿がありえる時代になるかも。そうなるとアートは必要ないんだな…。なので、今のうちに見ておいて下さい」と自身の考えを織り交ぜてアピールした。
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