藤井王将 8冠挑戦に王手 羽生九段下し王座戦挑戦者決定戦へ

2023年06月29日 05:07

芸能

藤井王将 8冠挑戦に王手 羽生九段下し王座戦挑戦者決定戦へ
羽生九段(左)を下し感想戦を行う藤井七冠(撮影・久冨木 修) Photo By スポニチ
 将棋の第71期王座戦挑戦者決定トーナメントは28日、東京都渋谷区の将棋会館で準決勝の1局を行い、先手の藤井聡太王将(20)=竜王、名人、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=が羽生善治九段(52)を123手で下し、決勝に進出した。また、同所で行われた準々決勝では渡辺明九段(39)が石井健太郎六段(31)を下し、豊島将之九段(33)との準決勝に進出した。
 注目の新旧7冠対決は、32歳年下の藤井に軍配が上がった。振り駒で先手となり、得意の角換わりに誘導しながら「仕掛けた後、イメージしたところが軽い形になってしまった」とまずは反省の弁。羽生に角を切らせたまではよかったが、続いて飛車金両取りの銀を深々と打たれ「そのあたりに誤算があって苦しい変化になり、自信のない展開になってしまいました」と苦悩の中盤戦を省みる。

 それでも先手番は7連勝中、しかも先手での角換わりは59勝8敗という驚異的な勝率を誇るだけに、苦しいながらも致命的な場面には一切追い込まれなかった。羽生の猛攻を持ち駒の銀で丁寧に受け、攻めを途切れさせた瞬間に竜を敵陣深く進入させ、攻めの権利を握る。「あの王手で、少し余せる形になったかと」。例によって控えめなターニングポイントの披歴だった。

 これで王座戦は最高成績だった第66期(17~18年)のベスト4を更新。翌67期から昨期まで3度の初戦負けを含む1勝4敗と苦手にしていた棋戦で決勝まで進出し「振るわない成績が続いたのでここまで進めたことは良かった」と目尻を下げた。研究仲間でもある永瀬拓矢王座(30)への挑戦権獲得まで、あと1勝。7月3日に指されるもう一つの準決勝、渡辺―豊島の勝者を下せば、前人未到の全8冠制覇に大きく前進する。

 「その前に棋聖戦、王位戦の防衛戦があるので(8冠は)全く意識していないですけど、王座戦の挑決に進むことができた。しっかり準備して次の対局に臨みたい」

 歴史的快挙達成への階段を、20歳の若武者は一歩ずつ確実に上り続けている。(我満 晴朗)

 ≪羽生九段持ち味出した≫藤井のエース戦法でもある角換わりに自ら飛び込んでいった7冠の大先輩・羽生は、敗れながらも持ち味は存分に発揮。早繰り銀で相手前線まで送り出した銀を縦横無尽に働かせ、角を切ってから見せた藤井王への連続攻撃は迫力十分だったが「いいと思った瞬間はなかった。ずっと難しく、自信のない展開でした」と視線を落とした。今王座戦では通算タイトル100期獲得に届かなかったものの「次のチャンスをつくれるようにしたい」。直近では竜王戦、そしてALSOK杯王将戦の番勝負出場可能性がある。
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