「らんまん」分家に謝罪も…松坂慶子 タキさん完走に感慨「一生を演じられた」ラストは高知の桜「きれい」
2023年06月30日 08:15
芸能
朝ドラ通算108作目。「日本植物学の父」と称される牧野富太郎をモデルに、江戸末期から昭和の激動の時代を生き抜き、明るく草花と向き合い続けた主人公・槙野万太郎の人生を描く。脚本はNHK「流行感冒」「群青領域」「旅屋おかえり」なども手掛けた注目の劇作家・長田育恵氏。神木の朝ドラ出演は2007年度前期「どんど晴れ」以来16年ぶり2作目。初主演となる。男性主人公は20年度前期「エール」(窪田正孝)以来3年ぶり。
第65話は、寿恵子(浜辺美波)との祝言の席。万太郎(神木隆之介)は、今後の槙野家の一切を綾(佐久間由衣)と竹雄(志尊淳)に譲ると伝える。納得のいかない分家の豊治(菅原大吉)たちに、タキ(松坂慶子)は今までの態度をわび、これからは互いに手を取り合い、商いに励んでほしいと願う。後日、万太郎やタキたちはヤマザクラを見に、呉服商・仙石屋へと向かう…という展開。
タキ「万太郎、わしの孫に生まれてきてくれて、ありがとう。おまんは生まれた時から、そして、この先もずっと、わしの望みじゃ」
万太郎「おばあちゃん、育ててくれて、本当にありがとうございました」
仙石屋。万太郎は病気のヤマザクラの若い枝を切り、接ぎ木。タキは「楽しみじゃのお。いつか、この桜が咲き誇るがか」。万太郎や綾の子どもが生まれる未来を想像し、また万太郎が生まれた頃の過去もよみがえった。
タキは「さあ、帰ろうか」。万太郎たちを笑顔で見つめた。
満開の桜に見守られるタキ。「そして、タキはこの世を去りました。江戸から明治へ、峰屋の大黒柱であったタキの旅立ちは、一つの時代の終わりを告げるものでした」(語り・宮崎あおい)――。
松坂の朝ドラ出演は18年度後期「まんぷく」以来。酒蔵「峰屋」を女手一つで切り盛りしてきた万太郎の祖母・槙野タキの厳格さと愛情深さを体現し、圧倒的な存在感を示した。
“退場”にあたり、同局を通じてコメント。この日の大座敷のシーンで「タキが分家に謝りました。お殿様が土佐を出ていくというような、時代の移り変わりをだんだん感じているのだけれども、この時は『本家・分家と言っていて悪かった、これからは上下の別なく互いに手を取って商いに励んでほしい』というタキさんの変貌っぷり。柔軟な気持ちや時代のことも理解して、歳を重ねていったタキさんも素敵ですね」と述懐した。
「同じ回で、万太郎にお礼を言うところがあります。これは一貫したタキさんの気持ちだったと思います。天寿を全うする時期に来てしまったけれど、かけがえのない孫の万太郎であり、そういう存在を得ることができたタキさんは幸せだと思います」
自身のラストシーンは今年春、桜の開花時期に高知ロケ。「立派な桜がとてもきれいでしたね。万太郎と一緒に見ていた桜は病気で直すことはできないけれど、挿し木(接ぎ木)をして残した桜がいつか咲き誇るように、という台詞にもあったように、タキさんの晩年が孫の万太郎の成長ぶりを楽しみにしているという、当時の女性の一生を演じられたなと思いました」と感無量の様子。「タキさんはついにこの世を去りましたが、万太郎と寿恵子、綾と竹雄のそれぞれの夫婦が新たな時代を作っていきます。その様子を楽しみに今後も『らんまん』を見ていただければ、うれしいです」と呼び掛けた。