伊武雅刀 実り多き畑仕事、太陽の光を浴びて新鮮な気持ちに 「劇的に心身ともに豊かになった」

2023年07月02日 08:30

芸能

伊武雅刀 実り多き畑仕事、太陽の光を浴びて新鮮な気持ちに 「劇的に心身ともに豊かになった」
農園で育てたイチゴを摘み笑顔の伊武雅刀 Photo By スポニチ
 【夢中論】俳優の伊武雅刀(74)は、多忙な合間を縫って畑仕事にいそしむ。季節ごとの野菜や果物の種、苗を植え、丹精込めて育てる。地道な努力を重ね、鮮度抜群の熟した実を食するのは至福の瞬間だ。太陽の光を浴び、自然と全身運動にもなっているため体調も至って良好。仕事へのモチベーションにもつながっている。(鈴木 元)
 夜が明けないうちに、自宅から歩いて10分ほどの農園に向かう。8畳ほどの広さの畑で作物や土の状態を確かめ、水をやり、雑草を抜いていると朝日が昇ってくる。「日の出の太陽はしばらく凝視できるんです。その光にパワーをもらっていますね」。食べ頃になった野菜や果物をもぎ、その日の食卓に並べる。今の季節はナス、キュウリ、トマト、カブなど夏野菜の最盛期だ。

 「朝もいで、その日に食べるキュウリはパキーンってしているんですよ。カブも四つ切りにしてオリーブオイルと塩、こしょうで食べたらまあ甘い。市販のカブにあの甘さはない。新鮮さが命。もぎたてにかなうものなしです。夫婦2人で、ひと夏食べられるだけ収穫できますから」

 先日は、フランスで暮らす娘家族が帰国。孫を農園に連れていったところ「パピー(農園名)の野菜はおいしいと言ってボリボリ食べていましたよ」と相好を崩す。

 元々野菜好きで、地方ロケや旅行では国内外問わずまずは地元の市場に赴く。宿泊先はキッチン付きの部屋を取り、買ってきた野菜などをお気に入りの調味料で調理する。自宅でも各地から無農薬野菜を取り寄せるほどのこだわりで「仕事が続くとロケ弁ばかりで、野菜も取れないし食生活が一気に落ちる。いつかは新鮮な野菜を自分で作って日常で食べたいなという思いは昔からあった」という。

 だが、俳優業は時間に不規則なところも多い。半ば諦めていたところ、5年ほど前に近所の農園と出合い試しに1年契約で借りてみた。インターネットで栽培法を学びキュウリやナスを植えたところ、殊の外収穫量も多くおいしい実がなった。

 「手をかければかけるほどおいしくなるし、手抜きをするとそれだけの野菜しかできない。3年くらい前にイチゴを植えたら結構採れて、形は悪いですけれど本当に甘くておいしかった。それを食べたら、もう他のイチゴは食べられない。今年は6苗植えて収穫できたのは4個ですけれど、凝縮された甘さがあった。それを知ってしまうと、来年もまたやるかという思いになります」

 雑草も頻繁に抜かなければならず、土を30センチほど掘りさらにその下の30センチを掘って入れ替える「天地返し」、最先端の芽を摘み取りわき芽を発生させる「摘心」などまめな作業が求められる。

 「結構な重労働ですよ。畑仕事をしながらセリフを覚えようとしても何かが目についてそうはいかない。無心でやっています。夏は暑いですから午前8時前には終わらせなければいけないし、意外と汗をかくので冬の寒さも苦にならないですね」

 作業に熱中するあまり首の後ろが真っ赤に焼け、その日のメークの担当者に驚かれる“失敗談”もあった。ロケなどで長く家を空けると、悲しい結果を招くこともしばしば。それでも「子供を育てているようなものですから、努力が足りなかったと反省はしますが落ち込んでいる場合じゃないぞ、みたいなね」と常に前を向いている。「自分で野菜を作れるようになってから、劇的に心身ともに豊かになりましたね。だから仕事が予定より早く終わると、夜の弁当があってもなるべく家に帰ってから食べるようにしています。そして早く寝て、また明日っていうモチベーションになっていますね」

 今宵も晩酌で、自家製の野菜を肴(さかな)に舌鼓を打っている。

 ◇伊武 雅刀(いぶ・まさとう)1949年(昭24)3月28日生まれ、東京都出身の74歳。67年、高校生の時にNHK「高校生時代」で俳優デビュー。アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のデスラー総統役やラジオ「スネークマンショー」のDJとして注目を集め、83年に発売したシングル「子供達を責めないで」は30万枚を超すヒット。映画「ションベン・ライダー」、「俺っちのウエディング」(共に83年)などで俳優として頭角を現し、88年にはスティーブン・スピルバーグ監督の「太陽の帝国」に出演。

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