競馬 「ウマ娘」が競馬ファンにも愛される理由 アリーナツアーの演出にも競馬愛

2023年07月16日 22:53

芸能

競馬 「ウマ娘」が競馬ファンにも愛される理由 アリーナツアーの演出にも競馬愛
ウマ娘初のアリーナツアー「5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND ―WISH―」DAY2の出走キャスト(C)Cygames, Inc. Photo By スポニチ
 クロスメディアコンテンツ『ウマ娘プリティーダービー』初のアリーナツアーが15、16日にぴあアリーナMMで行われた「5th EVENT ARENA TOUR GO BEYOND ―WISH―」で開幕。ウマ娘が競馬ファンからも愛される理由が詰まったライブ内容だった。
 15日に行われたDAY1では、今年1月に上演された舞台「Sprinters’ Story」を山根綺(ダイタクヘリオス役)、今泉りおな(ヤマニンゼファー役)、礒部花凜(ダイイチルビー役)、佐藤日向(ケイエスミラクル役)らが再現。90年代に活躍した短距離馬の史実を基にしたオリジナルストーリーで、91年スプリンターズSで1番人気に支持されながらも左第一趾骨粉砕骨折のため競走中止(予後不良)となったケイエスミラクルのifの世界線が描かれた。ウマ娘はこれまでも、誰もが夢見た“名馬のその先”を描くことで、競馬ファンの心をつかんできた。

 また、各楽曲のキャストの組み合わせも趣向が凝らされている。「winning the soul」は衣川里佳(ナリタブライアン役)、天海由梨奈(ミスターシービー役)が歌唱し、途中からMachico(トウカイテイオー役)と津田美波(エアシャカール役)が加わる構成。ナリタブライアン、ミスターシービーはともに3冠馬。トウカイテイオーは無敗のまま皐月賞、ダービーの2冠を制したがケガのため3冠目の菊花賞には出走できず。エアシャカールは皐月賞、菊花賞を制したが、ダービーはわずか7センチ差で2着に敗れた。3冠を制したブライアン、シービーに、幻の3冠馬テイオーと、3冠に最も近づいたシャカールが加わる演出は、競馬ファンの懐古心を揺さぶるものだったに違いない。

 16日のDAY2は、今春配信されたアニメ「ROAD TO THE TOP」から徳井青空(テイエムオペラオー役)、咲々木瞳(アドマイヤベガ役)、中村カンナ(ナリタトップロード役)がそろい踏み。99年のクラシック3冠を分け合ったテイエムオペラオー、アドマイヤベガ、ナリタトップロードは史上最高の“三強”と語り草。激闘のクラシックを描いたアニメはYouTubeで累計760万回以上(7月16日時点)再生されるほどの人気ぶりだ。この日は3人が歌唱を終えると、ライブ中盤にもかかわらず、観客からアンコールが叫ばれる一幕も。これは同アニメのワンシーンを再現したもので、再び3人が登場し「イチバン星が駆ける空」を歌い上げた。クロスメディアコンテンツならではの仕掛けもライブの盛況ぶりに拍車をかけた。

 キャストの組み合わせでは、天海由梨奈(ミスターシービー役)&藤原夏海(カツラギエース役)、春川芽生(シンボリクリスエス役)&松岡美里(タニノギムレット役)などの新旧ライバルものから、青山吉能(ツルマルツヨシ役)のソロ曲をMachico(トウカイテイオー役)がバックアップするなどの血統背景を想起(実馬はともにシンボリルドルフ産駒)させるものまで幅広いカップリングで飽きさせない工夫が随所にあった。

 ここに挙げたのはほんの一例で、制作陣が仕掛けたトリックは枚挙にいとまがない。競馬が好きな人たちが“つくる”ウマ娘。競馬界のレジェンド武豊でさえ「相当、競馬が好きな人が(制作陣に)いるよね」と感心するほどの細部へのこだわり。競馬ファンにも愛される理由が、そこにある。

 今後は9月16、17日に名古屋(ポートメッセなごや)、来年2月3、4日に東京(有明アリーナ)、3月22、23日に大阪(大阪城ホール)での公演を予定。また、横浜公演についても約1週間の見逃し配信が行われている。

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