囲碁の史上最年少棋士で現在10歳の藤田怜央初段が5日、大阪市内で、所属する関西棋院の池坊雅史新理事長の就任パーティーで公開対局に臨んだ。関西棋院のホープ、佐田篤史七段(27)と互角に打ち合い、解説の聞き手を務めた囲碁ファンの落語家・桂南光(71)が「怜央君の方が、勢いがあってええ感じです」「何か佐田さんが困ったという顔をしてます」と会場を盛り上げた。
最終的には決着がつかず時間切れの打ち掛けになった。公開対局は昨年11月、奈良市の平城宮跡歴史公園で経験済みだが、対局は別室で行ったため、出席者約180人という観衆の目前では初体験。緊張したか?との問い掛けにうなずいた藤田に付き添った師匠の星川拓海五段(40)は「大きな舞台を経験して度胸がつく。メンタルの強さは大事だと思います」と愛弟子に与えられた試練を歓迎した。
昨年9月に入段してプロになり、まもなく1年。プロになって初の夏休みは、今月8日に非公式戦ながら都内で対局に臨み、中旬には2、3泊の予定で京都での合宿にも参加する。
佐田によれば、これまで練習対局は計50局ほど行ったが半年ぶりに打った3日前、ハンデなしで初めて敗れたという。「いよいよ自分も年かな。怜央君の方が夢がある」と自虐的に笑い、時間切れで引き分けになった公開対局についても「今はいい勝負。最後まで打ちたかった」と名残惜しげに語った。