桑原和男さん 老衰で死去 87歳 吉本新喜劇の顔「和子ばあちゃん」

2023年08月11日 05:09

芸能

桑原和男さん 老衰で死去 87歳 吉本新喜劇の顔「和子ばあちゃん」
吉本新喜劇のおばあさん役などで活躍した桑原和男さん Photo By 提供写真
 吉本新喜劇のおばあさん役などで活躍した桑原和男(くわばら・かずお、本名九原一三=くはら・かずみ)さんが10日、老衰のため神戸市内の病院で死去した。87歳。北九州市出身。通夜は11日、葬儀・告別式は12日に近親者で行う。
 漁師の息子として生まれ、小学校から高校卒業まで夏休みは漁に出て過ごしたが船酔いが激しかった。高校卒業後、教師を志し、福岡の教育大学を受験したが不合格だった。

 故郷を離れたい思いから、1955年に7度断られた末“8度目の正直”で漫才コンビ「夢路いとし・喜味こいし」に弟子入り。翌56年に漫才作家の秋田實が立ち上げた軽演劇集団「宝塚新芸座」に出演。その後、漫才師となり「原こちら」の芸名で舞台に立った。ところが3度コンビ別れを経験したことで「1人の方が自分で責任を取れる」と決意し61年、吉本新喜劇の前身「吉本ヴァラエティ」へ入団した。

 69年に座長に就任。小柄でやさしい顔立ちであることから、母親役やおばあさん役である「桑原和子」を務め、和子ばあちゃんは新喜劇ファンならずとも関西ではおなじみのキャラクターになった。舞台を離れると物静かで真面目な性格。役作りにも没頭し、四六時中、おばあさんを観察。悩むときに小首をかしげて頬に手を添えるなど研究し、芝居に取り入れた。「神様~!」など、代名詞になったギャグも多かった。

 89年の「吉本新喜劇やめよッカナ?キャンペーン」ではベテランとして残留し、新喜劇の復活を支えた。92年「上方お笑い大賞」金賞を受賞した。

 2000年7月に急性心筋梗塞で手術し入院、静養を経て同年12月に舞台復帰。その後、体調に配慮しながら活動を続け、18、19年は後輩座長の小籔千豊(49)が立ち上げた「コヤブソニック」、19年3月には「60周年だよ!よしもと新喜劇」に出演した。20年10月の「よしもと大笑い祭り寄席」が最後の舞台となった。昨年11月にはなんばグランド花月に来場し、車いすで新喜劇を観覧した。

 ◇桑原さん主なギャグ
 ▼「ごめんください。どなたですか。和ちゃんです。お入りください。ありがとう」 登場する際に1人で言い切る。30代初めに偶然できたギャグ。会社員役で「ただいま」と声を掛けていたのに妻役が出てこず、仕方がなく1人で言い切ったら爆笑となった。

 ▼「神様!」 バイオリン独奏曲「ツィゴイネルワイゼン」に合わせて、「神様、神様~!」と私生活の不平不満を独白。「吉本が全然ギャラを上げてくれない」などと訴え笑いが起こると、突然立ち上がり、「ご静聴ありがとうございました!」。

 ▼垂れ乳 作り物の布製の乳房を自らもみしだく一人芝居。男性共演者の口にねじ込むなどして、笑いを取った。
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