栗山英樹氏 WBCメキシコ戦、村上サヨナラ打までの葛藤と決断 極秘メモ公開で明らかに
2023年08月14日 14:49
芸能
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1点を追う9回に大谷が二塁打で突破口を開いた。栗山氏は投手の球が上ずっているのを見て、4番・吉田の四球を予見。続く5番・村上は不振に苦しんでいたが「村上のバントは0です。ああいうケースでいつもやっていないケースをやるのは僕の中でありえない」と村上にバントさせる可能性はなかったと語った。
もちろん確実に得点につなげるために送りバントの選択肢は持っており、バントさせるならば、「代打でバント」だった。
しかし、栗山氏の脳裏には、8回無死一、二塁で源田がバントを試みながら2ストライクで追い込まれた場面がよぎっていた。結果的に源田はスリーバントを決めるが「大事な時にそういうところできちっとできる源ちゃんが、ファウル、ファウルでバントを失敗した。あの源ちゃんでさえもバントが普通にできない空気感になってしまっている。これだけプレッシャーかかる時に代打でバントいってどれくらい確率あるのかとバーッと頭で考えた」と球界屈指の名手ですら追い込まれる極限状態ということを計算に入れた。
さらに、5番以降の打者についても考えをめぐらせていた。
この日、本塁打を放って好調だった6番・岡本はすでに交代しており、長打が期待できる山川も代打で使い切っていた。「あそこで(次打者が)岡本和真だったら送り(バント)もあり。山川が代打で残っていれば、犠牲フライの可能性もあった。実はそこがある。僕が(カードを)使い切っていたという。だったらボールが上ずってきていた相手の抑え投手に関しては、ムネ(村上)の外野フライが一番可能性が高いなと思っていた。バントのリスクを背負わなくていい。ツーベースを打つとは思ってないし、どうやったら追いつくかということを考えていた」。大会前に栗山氏自身がメモに記していた非情さと理詰めの采配が凝縮された場面。決断の連続で結論を出した最善手が、結果的に村上の劇的なサヨナラ打につながった。
メモには「(村上の代打で)牧原の用意はしてあった。しかし、なんでかわからない。1点差なので打って走者が進む可能性も同じくらいある。この投手ならと思った。自然に『ムネ(村上)にもう一度任せたと言ってきて』と城石(コーチ)に頼んだ」と記していた。