藤井王位 不“角”防衛お預け 佐々木七段の“異筋の一手”に苦心…連勝7でストップ
2023年08月17日 04:45
芸能
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考慮時間が物語る。48手目が2分だったのに対し、角打ちに対する50手目には一転、残り1時間21分から半分以上の47分を投入。「(角打ちを)見落としていて、打たれるとどうしても飛車を取られる」。胸中に渦巻く苦心は明らかだった。
変調は封じ手にもうかがえた。指し掛けの1日目定刻、午後6時を11分超えて決断したのは、比較的穏当な天王山への飛車回り。「飛車を切ることも考えた。でもかなり駒損する。封じ手前後で、判断できなかった」。佐々木陣の奥深く、王手をかけつつ飛車銀交換する踏み込みとの選択に迷った。
1年3カ月ぶり、タイトル戦でのストレート獲得の絶好機だった。達成なら昨年5月、出口若武六段(28)を挑戦者に迎えた叡王戦5番勝負で開幕3連勝して以来。6月の棋聖戦第2局で佐々木に喫した黒星を最後に、継続する7連勝(未放映のテレビ対局を除く)もストップした。
そして、後手番の成績も今年度6勝4敗とした。先手番での11戦全勝と比較とすると差は歴然。20年度に20勝2敗の勝率・909を残して以降、下降傾向で先月、「後手番で主導権を握られてしまう展開が増えてきている」と告白した。勝率10割の先手番へ移る第5局で、決めにいく。
≪佐々木七段1勝 師匠ばり逆転劇に望み≫王位戦7番勝負初勝利の佐々木は興奮を押し殺して言葉をつないだ。「先に横歩を取られて、危険な筋があった。かなりリスクのある戦いになった」。戦型は佐々木の誘導で十八番の相掛かり。先手では、今局前まで57勝18敗の勝率・760。熟知した戦いにも落とし穴が存在した熱戦だった。
開幕3連敗は第50期で佐々木の師匠・深浦康市九段(51)も喫したが第4局から4連勝。史上2例目の大逆転を成し遂げた。
その第4局が今局の隣県、長崎県佐世保市対局。「九州でカド番は師匠と同じ状況になった。自分の力を信じて、集中して出し切りたい」と前夜祭で意気込んだ、スタートラインには立った。「次も開き直って淡々と指したい」。一喜一憂を排して目の前の1勝をつかみにいく。