藤井王位 不“角”防衛お預け 佐々木七段の“異筋の一手”に苦心…連勝7でストップ

2023年08月17日 04:45

芸能

藤井王位 不“角”防衛お預け 佐々木七段の“異筋の一手”に苦心…連勝7でストップ
佐々木大地七段(右)が見守る中、立会人の中田功八段(左)が示した封じ手を指す藤井聡太王位(日本将棋連盟提供) Photo By 提供写真
 藤井聡太王位(21)=王将、竜王、名人、叡王、棋王、棋聖含む7冠=に佐々木大地七段(28)が挑む第64期王位戦7番勝負第4局は16日、佐賀県嬉野市の和多屋別荘で2日目が指し継がれ、先手佐々木が85手で勝利し、1勝3敗とした。7番勝負の決着は22、23日に徳島市の渭水苑で行われる第5局以降に持ち越された。
 挑戦者が放った異筋の角打ちに、読み落としを悟った。48手目、3筋へ旋回させた藤井の飛車。この横利きを、佐々木は4筋に駒台から置くことで遮った。横へは利かない角という駒の特性を度外視した一手は、藤井の読みからも外れていた。

 考慮時間が物語る。48手目が2分だったのに対し、角打ちに対する50手目には一転、残り1時間21分から半分以上の47分を投入。「(角打ちを)見落としていて、打たれるとどうしても飛車を取られる」。胸中に渦巻く苦心は明らかだった。

 変調は封じ手にもうかがえた。指し掛けの1日目定刻、午後6時を11分超えて決断したのは、比較的穏当な天王山への飛車回り。「飛車を切ることも考えた。でもかなり駒損する。封じ手前後で、判断できなかった」。佐々木陣の奥深く、王手をかけつつ飛車銀交換する踏み込みとの選択に迷った。

 1年3カ月ぶり、タイトル戦でのストレート獲得の絶好機だった。達成なら昨年5月、出口若武六段(28)を挑戦者に迎えた叡王戦5番勝負で開幕3連勝して以来。6月の棋聖戦第2局で佐々木に喫した黒星を最後に、継続する7連勝(未放映のテレビ対局を除く)もストップした。

 そして、後手番の成績も今年度6勝4敗とした。先手番での11戦全勝と比較とすると差は歴然。20年度に20勝2敗の勝率・909を残して以降、下降傾向で先月、「後手番で主導権を握られてしまう展開が増えてきている」と告白した。勝率10割の先手番へ移る第5局で、決めにいく。

 ≪佐々木七段1勝 師匠ばり逆転劇に望み≫王位戦7番勝負初勝利の佐々木は興奮を押し殺して言葉をつないだ。「先に横歩を取られて、危険な筋があった。かなりリスクのある戦いになった」。戦型は佐々木の誘導で十八番の相掛かり。先手では、今局前まで57勝18敗の勝率・760。熟知した戦いにも落とし穴が存在した熱戦だった。

 開幕3連敗は第50期で佐々木の師匠・深浦康市九段(51)も喫したが第4局から4連勝。史上2例目の大逆転を成し遂げた。

 その第4局が今局の隣県、長崎県佐世保市対局。「九州でカド番は師匠と同じ状況になった。自分の力を信じて、集中して出し切りたい」と前夜祭で意気込んだ、スタートラインには立った。「次も開き直って淡々と指したい」。一喜一憂を排して目の前の1勝をつかみにいく。

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