長谷川初範が演じる「家族愛」 家族の幸せを一番に考えつつも金銭に執着する父親 舞台「夜への長い旅路」

2023年09月01日 05:00

芸能

長谷川初範が演じる「家族愛」 家族の幸せを一番に考えつつも金銭に執着する父親 舞台「夜への長い旅路」
舞台「夜への長い旅路」に出演する長谷川初範 Photo By スポニチ
 俳優の長谷川初範(68)が、舞台「夜への長い旅路」(東京・すみだパークシアター倉、16~24日)に出演する。
 米劇作家ユージン・オニールの名作戯曲。モルヒネ中毒の母、アルコール依存症の長男、身体が弱く知的な次男など、さまざまな問題を抱えた家族の一日を描く物語。長谷川が演じるのは家族の幸せを一番に考えつつも金銭に執着する一家の父。家族愛がテーマとあり、「今の時代だからこそ、誰もが抱える普遍的な家族の物語を見てほしい」と呼びかけている。

 「家族という存在は自分が表現の世界に入る時の1つのテーマでもあった」。長谷川自身も父親との確執に長年悩んだという。「母が父へ感じることが伝播して、自分も父へのがっかり感が強くなる。やがて嫌悪を抱き憎しみが増えていく」。そんな経験が、今作と向き合う中で何度も回想された。

 しかしその後、互いに歩みより和解した。10年ほど前にがんで亡くなる直前には長谷川がつきっきりで看病をしたという。「決裂したまま別れたくないと思った。死別してから半年、1年後くらいでしょうか。自然と自分の心もさわやかになりましたね」と振り返った。

 今では自分が父親の立場。その経験は今作の役作りでも活かされている様子で「どちらの立場もよく分かる。やっぱり父親というのはお金も大事に考えなきゃいけない。父親という存在は“ミニ・ドナルド・トランプ”なんだと思う」と家族を思うあまりにお金にも厳しくなる今回の役柄にも大きな理解を示した。

 現在は稽古と体力づくりの真っ最中。日々食事に気を使い、健康のために銭湯でお湯と水風呂を交互に浸かる作業を繰り返しているという。「やはり年齢を重ねると、どうしても体力的に不安な部分はある。だからこそ人一倍健康には気をつけます」と自戒を込める。

 そうして舞台から客席に芝居を届ける瞬間は、何にも替えがたい多幸感がある。「本番では体の細胞を、ミトコンドリアまで全て活性化させますよ」と笑う表情は、やはり若々しかった。

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