人気のテレ東深夜ドラマ 支える次世代女性脚本家「リアルを意識している」高い技術、情報収集力のワケ
2023年09月27日 19:00
芸能
27日深夜に放送される「野良猫沼」は「飲み屋で知り合った年下のイケメン(吉澤要人)がいつからか家に出現。気まぐれになつく野良猫のようなこの癒しの沼オトコにオンナ(佐藤玲)がハマっていく」姿を描く。「このオトコは心に火をつけておいて…という悪いヤツ。今まで会って来た人物の集合体で書きました」とオトコとオンナの絶妙な距離を温度感を込めて作品に落とし込んでいる。
制作者の間で「キャラクターに深みと味わいを加えて書ける次世代の脚本家」として評価が高い灯氏。執筆中は「普通の恋愛ドラマにならないように」とし「沼にハマって癒されるものよし、キュンとするのもよし。ハマって楽しかった女性がいたら、効能としてもいろいろあるでしょうし、凝りもほぐされることもあると思う。そこから出られなくなるのも自由。ハッピーエンドもバッドエンドも決めていなくて、見てくださる方の価値観に委ねる」作品の制作を念頭に置いた。「“等身大”をかなり意識しました」とリアルな生活の中で繰り広げられる“沼”を取り入れ、目指したのは「身近にいる誰かと重ねられるような作品」。結果、視聴者の心を揺さぶり、ひき付ける作品が誕生した。
灯氏の強みは確かな技量とセンス、高い情報収集力と人脈だ。脚本家を目指して、日大芸術学部映画学科に進学。在学中から芸能事務所に所属して女優としても活動するなど、スキルを磨きながら、経験も積んできた。
「沼オトコ…」でも「このような話をいろいろ知っていそうな人に会いに…」とネタを求め、足を使ってリサーチした。
10月4日放送の第6話「推し沼」は男性アイドル(桜木雅哉)を推すヒロイン(水谷果穂)、そんな推し活をするヒロインを支えるオトコ(大倉空人)の物語。この最終回は2人の沼オトコが登場。悩むヒロインを励ますカフェ店員(椿原愛)の存在も気になりそうだ。このストーリーは、灯氏が実際にアイドルをしている友人に話を聞き、リアルな視点を詰め込んだ。また、灯氏自身もアイドルファン。そのため、「アイドルを応援するすべての人にぜひ見てほしい回となりました」とアピールしている
10月19日からスタートする「ポケットに冒険をつめこんで」(木曜深夜0時30分)でも脚本を担当。ゲーム「ポケットモンスター」を原案として実写ドラマとあって注目度も高い。ポケモンのゲームを久しぶりに手にしたことから主人公の生活が変化していく…というストーリー。灯氏は「主人公を演じる西野七瀬さんと私、そして劇中の主人公は同じ年齢。この等身大のリアルを嘘がないように書きたい」と話している。灯氏の作品に“沼る”日が続きそうだ。
▽テレビ東京・漆間宏一プロデューサーの話
灯さんは「お耳に合いましたら。」「真相は耳の中」「沼オトコと沼落ちオンナ」「ポケットに冒険をつめこんで」の4作品で一緒にドラマ作りをしてくださった作家さんです。
全てオリジナルドラマなのですが、お耳や真相の時に、自分達で作るキャラや設定を超えないところで話のストーリーに「陰」をつけて遊ぼうとしてくれる印象を持ちました。
割とヒューマンドラマが多いのですが、人間社会において良いことだけではなく、ダークな部分や世相を入れることで、逆に、よりキャラが立つような、ヒューマンドラマに深みが出る、この要素を気持ち良く感じていました。さらに「陰」=ネガティブではなく、ちょっと笑える内容を入れることで、作品としてのバランスの整え方や話の立たせ方が上手だなと常日頃思っておりました。
特に沼オトコと沼落ちオンナに関しては、全6話でオムニバスの設定、かつ男女が沼にハマっていくという、6種類の癖の強いお話です。灯さんの作品に与える素敵な要素なら、沼ドラマもキャラが立って、ちょっと笑えて、でも陰な部分があるからこそ、共感が生まれる。と思いチーフの脚本としてすぐお声がけさせていただきました。