藤井聡太王将 史上初の全8冠独占へ「いい状態で迎えられたら」11日王座戦第4局
2023年10月11日 05:10
芸能
第1局での黒星発進から第2局は214手の大熱戦。第3局は自ら「終盤は負けの形」とする逆転勝ちだった。視線の先は11日の一局へ定まっている。
全冠制覇となれば96年の羽生善治九段以来27年ぶり。17年に叡王戦が8つ目のタイトル戦に昇格する前の全7冠時代、羽生は5カ月独占した。藤井があと1勝すれば4人目、延べ6度目の全冠制覇となる。年齢では、升田幸三実力制第4代名人が39歳、大山康晴15世名人が36歳、羽生が25歳であることから最年少記録を更新する。
対局場は戦国時代に天下統一した豊臣秀吉の正室ねねがその死後、冥福を祈るために建立した高台寺に近い。以来400年余り。21歳による棋界の天下統一へ舞台装置は整い、機運は高まっている。
第4局は藤井が後手番となる。今年度、23勝5敗と勝率1位を誇るが、後手番では10勝4敗。5敗中4敗を喫したことは不安材料かもしれない。そして永瀬との対戦成績は藤井の後手では7勝3敗で、戦型は3局連続角換わり。角換わりを基本線に、土壇場の永瀬が繰り出す秘策をどう打ち返すのか、注目される。
信長、秀吉、家康の戦国3武将では「革新性に引かれる」と鉄砲を導入した信長推しを語ったこともある藤井。信長の悲願をかなえた秀吉ゆかりの地で、無心で臨む。
≪永瀬は一局集中≫カド番に立たされている永瀬だが、表情に焦燥感はない。いつも通りに対局室に入り、いつも通りに盤駒を確認。本番前日から集中力を研ぎ澄ます。
「これまでは一局一局全力を尽くしていると思います」と、1勝2敗の過去3局を振り返り、今局については「一局を集中して頑張るしかないと思っています」と短く心境を表すだけ。冗舌を封印して歴史的一戦を迎える。
第4局は先手番だ。戦法を選ぶ権利がある。崖っ縁に立ってこそ真価が問われる「軍曹」。眼鏡の奥に見える瞳は鋭さを増していた。