【記者の目】盤上以外でも…気遣いできる、藤井聡太8冠の視野の広さ

2023年10月12日 05:05

芸能

【記者の目】盤上以外でも…気遣いできる、藤井聡太8冠の視野の広さ
記者会見に臨む藤井八冠 (撮影・須田 麻祐子) Photo By スポニチ
 【記者の目】棋聖戦と王位戦で藤井と対戦した佐々木大地七段は、最も印象深かった瞬間を棋聖戦第3局の終盤と答えている。中段まで単独逃避行を続けていた藤井の王様が、よりによって相手(つまり佐々木)の飛車が利いている筋に進入した衝撃シーンだ。「その瞬間、凄い手が飛んできたな、と」。全く予想していなかった指し手に対応しきれず敗れた佐々木。トッププロでも思い浮かばない常識外の妙手は、盤上での視野の広さを如実に物語る。
 今年3月に王将戦の祝勝会が開催された栃木県大田原市での出来事。分刻みの行程が組まれ、藤井王将に話を聞く機会は本人の意向もあって移動中のマイクロバス内に限られた。全ての行事を終え、会場のホテル花月から出発する寸前。車中でボイスレコーダーを取り出し、取材を始めようとしたら、柔和な表情でこう提案された。「バスが出てからにしませんか」

 改めて状況を確認すると、玄関では関係者がずらりと整列して見送りの準備が整っている。律義な藤井王将は窓を開けて一礼。手を振るスタッフの姿が見えなくなるまで笑顔を向けていた。
 視野が広いのは盤上だけではなかった…。
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