深夜ラジオと同じイメージで接してくれた谷村新司さん
2023年10月17日 05:06
芸能
ソロになってからのシングル曲はしっとりと歌ったり、壮大なスケールのバラードが多い。そんな流れの中、96年の「愛に帰りたい」はフォークロック調でアリス時代を思い出す。そう記事に書いたところ、谷村さんは「僕の立ち位置を今どきの若い記者がしっかりと理解してくれているのがうれしいんです」と目尻を下げた。そして「今日のコンサートはきっと楽しんでもらえるでしょう。だってアリスの曲も…おっと、これ以上はヒ・ミ・ツ」と言って人さし指を唇の前で立てた。谷村さんらしい、やりとりだった。
ラジオ番組で人気を博したトーク力。丁寧な言葉の中にサプライズとユーモアがあり19歳下の記者を敬語で気遣ってくれる。その後も音楽番組の舞台裏などで会うたび同じように接してくれた。
親が寝た深夜にこっそりと「セイ!ヤング」を聴いて「大人の世界」を妄想した世代。「冬の稲妻」「ジョニーの子守唄」などを級友たちと合唱しながら下校した。大人になって対面しても深夜ラジオで語りかけてきたイメージと全く変わらなかった。もっともっと話を、歌声を聴きたかった。(編集局次長・山崎 智彦)