財津一郎さん死去　タケモトピアノ会長「CMを断ることも多い方と聞いたが快諾してくれてうれしかった」

　テレビドラマ「てなもんや三度笠」や「3年B組金八先生」などで個性豊かな演技を披露した俳優の財津一郎（ざいつ・いちろう、本名・財津永栄＝ざいつ・ながひで）さんが14日午後5時、都内の自宅で死去した。89歳。熊本県出身。関係者によると、死因は慢性心不全だった。 　財津さんは数々のCMキャラクターとしても人気だった。「もっと　も～っと　タケモット」「ピアノ売ってチョウダイ！」のセリフで有名なピアノ買取業者「タケモトピアノ」のCMは20年以上出演。財津さんの声が流れると赤ちゃんが泣きやむとして人気バラエティー番組「探偵！ナイトスクープ」で検証されたこともあった。

　同社によると9月末で契約終了。CMは8月末まで流れた。担当者は「年齢もあり契約は更新はしないということでした。長年お世話になったごあいさつに伺おうとしていたところでした。ショックが大きく会社として追悼コメントは出せない」と悲しみに暮れた。

　CMは1997年に開始。竹本功一会長は本紙取材に「CMを断ることも多い方と聞いたが、快諾してくれてうれしかった。音楽が本当に好きな方だったので出てくれたのかな」と懐かしんだ。だが、なぜか不評で作り直すハメに。2日間スタジオを貸し切り、当時のCM撮影では珍しい映画用フィルムを用いて、振付師の香瑠鼓さん（66）を招いた。撮影時には孫で俳優の財津優太郎（24）が生まれたといい「終始にこやかで撮影に臨んでいました」と明かした。そのCMが8月末まで放送された。

　財津さんはほかにスタミナ食品（現エースフーズ）の「こてっちゃん」、NEC「バザールでござーる」などにも出演した。