NHK 25年春の朝ドラは「あんぱん」!アンパンマン生んだやなせたかし夫妻がモデル 中園ミホ氏脚本

2023年10月20日 11:00

芸能

NHK 25年春の朝ドラは「あんぱん」!アンパンマン生んだやなせたかし夫妻がモデル 中園ミホ氏脚本
2025年度前期の連続テレビ小説、タイトルは「あんぱん」 Photo By 提供写真
 NHKは20日、2025年度前期の連続テレビ小説(第112作)の詳細を発表。タイトルは「あんぱん」で、国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかしと小松暢夫妻をモデルとした「愛と勇気の物語」だと発表した。脚本は中園ミホ氏が手掛けるオリジナルストーリー。戦後80年を迎える年に、生きる喜びを伝える物語を描く。
 国民的アニメ「アンパンマン」を生んだやなせたかしの物語。あらゆる職業を転々としながら定まらない人生を送っていた、遅咲きの漫画家・やなせたかしが70歳にして生きる喜びを書いた「アンパンマン」のマーチの歌詞を生み出した背景には、戦前・戦中・戦後と激動の時代を、ちょっと気が弱くて自信のないたかしと共に生き、けん引し続けた「ハチキンおのぶ」の存在があった。

 生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった二人の人生。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現したアンパンマンにたどりつくまでを描き、生きる喜びが全身から湧いてくるような愛と勇気の物語を描く。

 物語は、実在の人物である、小松暢(1918-1993)とやなせたかし(1919-2013)をモデルとするが、激動の時代を生きた波乱万丈の物語として大胆に再構成。登場人物名や団体名などは一部改称し、フィクションとして描く。原作はなく、脚本は連続テレビ小説第90作「花子とアン」、フジテレビ「やまとなでしこ」、日本テレビ「ハケンの品格」、テレビ朝日「Doctor-X 外科医・大門未知子」など数多くのヒット作で知られる中園ミホ氏が手掛ける。

 ヒロイン・のぶ役は、オーディションで決定する。近年、ヒロイン(主演)はキャスティング(オファー)起用が多く、東京制作の朝ドラとしては2018年「半分、青い。」(永野芽郁)以来7年ぶり。

 のぶ役について、中園氏は「“ハチキンおのぶ”“韋駄天いだてんおのぶ”こと、小松暢さんをモデルにした朝田のぶがこのドラマのヒロインです。ハチキンとは、土佐弁で男勝りの女性のこと。県大会で優勝するほど脚が速く、行動力とスピード感にあふれ、人生の荒波をパワフルに乗り越えていくヒロインです。彼女は、あの『アンパンマン』に登場する『ドキンちゃん』のモデルといわれています。いつも好奇心に目を輝かせ、“おなかがすいた~!”というのが口癖のチャーミングな妖精です」と説明。

 「暢さんは持ち前の行動力と飽くなき好奇心で、さまざまな職場を渡り歩き、手塚治虫、赤塚不二夫、いずみたく、向田邦子、青島幸男……などなど、才能豊かで個性的な人たちと出逢い、関わり合いながら、ちょっと気が弱くて自信のないやなせさんを励まし続けます。やなせさんの才能がいつか必ず開花することを信じていたパートナーの存在がなかったら、アンパンマンがこの世に誕生することもなかったかもしれません」とのぶの存在の大きさを明かし「“正義は逆転することがある。信じがたいことだが。じゃあ、逆転しない正義とは何か?飢えて死にそうな人がいれば、一切れのパンをあげることだ”これはアンパンマンの神髄であり、二人が逆境や失敗をいくつも乗り越えて、つかんだ人生のテーマです」と、「アンパンマン」のテーマを解説した。

 2025年は、戦後80年を迎える。「二人が最も輝いていたはずの青春期、戦争が始まりました。やなせさんはたった一人の弟(千尋さん)を戦争で亡くしました。戦場にも日本中にも飢えて死にそうな人があふれていました。だからこそ、晩年になってアンパンマンを書かずにいられなかったのだと思います。おなかをすかせて弱っている人に自分の頭をかじらせて元気にするヒーローです」と、国民的ヒーローを重ね「初めは“自分の頭を食べさせるなんてグロテスク”とか“太っていてカッコわるい”と、まるで人気がなかったアンパンマンですが、たった一人、暢さんだけは応援し続けたのです」と、背景を明かした。

 ≪物語≫

 昭和のはじめごろ、高知の町中をものすごい勢いで走る少女がいました。「ハチキンおのぶ」こと、朝田のぶ。一方、幼いときに父を病気で亡くした柳井嵩は、叔父の家に引き取られ、そこでのぶと出会う。二人を結びつけたのは、一個のあんぱんだった。

 戦争の足音が近づくころ、女学校に通っていたのぶは周りと同様に、妄信的な軍国少女になっていた。やがて戦争が始まり、嵩は出征。嵩は弟・千尋ちひろを戦争で亡くし、のぶも最愛の人を亡くす。女学校を卒業し、のぶは戦争で全ての価値観が変わり、「何が正しいかは自分で見極めなければならない」と新聞社に女性初の記者として就職。戦後、クズ拾いの仕事を辞めた嵩が新聞社に入社し、二人は同じ雑誌の担当に。嵩は東京で漫画家を目指したい気持ちがありつつも、生活していけるか不安だった。

 のぶはそんな嵩に「あなたもあとから来なさいよ。先に東京に行って待ってるわ」と告げ、新聞社を辞め上京。のぶを追いかけ上京した嵩と、六畳一間のオンボロアパートでの生活が始まる。お風呂はなく、トイレは共同。トイレの天井には穴があき、雨の日は傘をさして入らなければいけないが、晴れた夜には星が見える。そんな暮らしをおもしろがり、「どんな環境でも楽しめるこの人と一緒にいたい」と二人は結婚。『手のひらを太陽に』『アンパンマン』が世に出るのは、まだまだ先のこと──。
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