フジテレビ 旧ジャニーズとの関係検証 編成幹部が証言「バーターの要求に苦慮することも」

2023年10月21日 16:07

芸能

フジテレビ 旧ジャニーズとの関係検証 編成幹部が証言「バーターの要求に苦慮することも」
フジテレビ社屋 Photo By スポニチ
 フジテレビは21日、「週刊フジテレビ批評 特別版 旧ジャニーズ事務所創業者による性加害問題と“メディアの沈黙”」(後2・00)と題して特別番組を放送。旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長による性加害問題を巡り、現役社員・元社員らへ社内調査をもとに番組制作における旧ジャニーズ事務所への“忖度”について検証した。
 同局では編成制作局、報道局、情報制作局に在籍したことがある77人の社員・元社員を対象に社内調査を実施。その結果を報じた。

 社内調査で、編成幹部の1人は「キャスティングにおけるタレント事務所との交渉では、いろいろな押し引きがある。力をもった事務所であれば、なおさら、条件面など含めた厳しい交渉に対応することになり、その点はむしろプロデューサーの腕の見せ所といった感じがあった」と話す一方で、元編成幹部の1人は「先方の意にそぐわないことがあると、所属タレントが出演している番組すべてに悪影響を及ぼすことがあった。進んでいた番組への出演交渉が難航したり、特番編成が受け入れられなかったり。社内の各セッション、各番組に迷惑をかけるという意識が強かった」と証言。編成幹部の1人も「番組や案件を横断したバーターの要求や、番組の編成や、社員、スタッフの変更等も要求され、対応に苦慮することがあった」とした。

 また、ある編成番組担当は「ジャニーズ事務所所属のタレントに関する発表についてかなり細かく使用範囲や使用可能映像の指定があった。また、それを(誤ってだとしても万が一逸脱してしまったりすると、ペナルティーとして一定期間その番組だけジャニーズ事務所関連のエンタメニュースなどで映像が使えなくなったりしていた」。元制作幹部の「ジャニーズ主演のドラマでは他社のイケメングループのキャスティングを避けたり、また事務所を辞めた人はキャスティングしない方がいいのではないかという考えがあった」との証言も紹介した。

 「圧力とは受け止めていなかった」とする社員がいる一方で、「圧力を受けた、ないしは忖度した」という社員もいるというこの状況に、番組に出演した立松嗣章編成制作局長は「タレント事務所と放送局との商取引は基本的に一般企業のビジネスと同様に、いろいろな押し引きがあり、時にタフな交渉を強いられることは普通にあります。制作現場はヒット番組を作りたいと取り組んでいて、人気タレントをキャスティングしたいというふうに考えています。その中で魅力あるタレントが多く所属し、多くの番組に影響力を持つ旧ジャニーズ事務所に対して、徐々に特別視するような空気が出来上がっていったことは否めません」と見解。「そうしたことが性加害を見逃したことにつながったのだと思います」とそういったテレビ局側の姿勢が性被害を見逃す要因になったことを認めたうえで「改めて行き過ぎた部分を見直し、適切な関係を築いていく必要があると考えています」とした。

 さらに「自分たちに問わなければならないのは視聴者の皆様に伝えるべきものを伝えてきたか。見たいものを作ってきたか、という点です。事務所への忖度により、自らそういった点を制限してきたのではないかという思いが今あります」と立石氏。「何よりも視聴者ファーストでありたいと思います。私たちには正確で迅速な報道、健全な娯楽の提供といった公共的使命と、社会的責任があります。今回のご指摘を真摯に受け止め、放送局としての役割を果たして参りたいと考えております」と語った。
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