藤井8冠が学んだAI “進化形AI”は藤井に学ぶ “相手のミスに期待する手”打てる可能性も
2023年10月23日 04:45
芸能
藤井の122手目は、AIの最善手とは異なっていた。AI専門メディア「AINOW」編集長の小澤健祐氏は「AIは内部で膨大なシミュレーションをして候補手を選ぶ」と指摘。これに対し「人間は相手のクセや体調など複数の情報源を活用し局面を認識する。その結果“焦ってミスをするかも”と予測して誘導もできる」と解説する。
“運命の一手”は現状のAIでは導けなかったとみられる。ただ、小澤氏はテキストや画像、音声、動画など複合的な情報源を活用した「マルチモーダルAI」によって劣勢でも藤井のように逆転の一手を放てる可能性が出てくると語る。例えば、相手の心情をどのように理解するかAIに学習させた上で、顔認識カメラで対局相手の目の揺らぎや表情を分析。正確に心理状態を理解できるようになれば「“相手のミスに期待する手”を打てるAIになる可能性がある」と推察した。AIに新たな学習領域を示したとも言える。
小澤氏は「AIが藤井8冠の棋譜などについて学習すれば、ご自身がさらに強くなる練習プランもできる」と語る。藤井とAIが切磋琢磨(せっさたくま)する未来も近そうだ。
≪チャットGPTを活用し新著執筆≫小澤氏は「人間とAIが共存する社会をつくる」をビジョンに生成AI活用推進プロジェクトを推進中。新著「生成AI導入の教科書」(ワン・パブリッシング)はチャットGPTをフル活用して執筆・編集した。